教育ローンは本人でも申し込めるの?教育ローンの本人申込審査と学生本人が学費を借りる方法


man
「教育ローンを申し込むのは、親?兄弟?学生本人?」

教育ローンの申込を検討している家庭の中で、学生本人が教育ローンを申込できるのか気になっている方は、多いのではないでしょうか。

例えば両親では、教育ローンの審査が通らなかったり、自分で学費を払いたいと学生本人が考えているケース等は、学生本人が教育ローンの借主となって申込みたい場合が考えられます。

man
「実際、学生本人が申込人となって教育ローンを申し込めるのでしょうか?」

例えば、国の教育ローンを取り扱っている日本学生支援機構の「よくある質問」には下記のように書いてあります。

man
「学生本人が申込人になることはできますか?」
teacher
「ご両親のうち、主に生計を維持されている方にお申込人になっていただいておりますが、例えば、成人されており、勤務収入などの安定したご収入があって、独立して生計を営んでいらっしゃる方であれば、学生ご本人がお申込みいただける場合もございます。」

という事で、不可能ではないがハードルが高いというのが、文面から読み取れるのではないでしょうか。

基本的には学生本人が申込人となる事は難しいようですが、今回は何とかして申し込みできるケースを何点か紹介したいと思います。

申込基準に合致しているか

成人している事

まず教育ローンを申し込むに当たり、国の教育ローンでも民間金融機関の教育ローンでも基本的な申込基準があります。

まず第一に成人している事(20歳以上になっている事)がローンを組むに当たって必須です。

例外として、奨学金制度は20歳未満でも申し込むことができますが、奨学金と教育ローンでは性質が違うものとみなされています。

教育ローンを含めて、全てのローンの申込は法律上未成年ではできない事となっているため、高校卒業後間もない段階での教育ローンの申込は難しいと言えるでしょう。

逆に考えると、専門学校や大学院等、成人してから通いたい学校があった場合は希望があるという事です。

成人して働きながら学校へ通い、何かを学びたいと考えている人も多くいると思われます。そういった方であれば申し込み対象となるでしょう。

安定して継続した収入があること

国の教育ローンには収入の下限は定めてありませんが、民間金融機関の教育ローンの場合は収入に下限が定めてあるケースがほとんどです。

教育ローンの種類国の教育ローン民間金融機関の教育ローン
収入の上限ありなし
収入の下限なしあり

したがって、民間金融機関の教育ローンを申込しようとした場合には、最低限の収入が必要となっています。

金融機関によってその金額は違ってきますが、多くは150万円を前年度収入の下限としています。

働きながら教育ローンを申し込む場合、親の扶養を抜けないように100万円前後のアルバイト収入だけでは、申し込みは難しいのが現状です。

そして、前年度の収入が150万円以上あったからといって確実に審査が通るとは限りません。

申込の条件には「安定して継続した収入があること」といった文言が書いてある場合がほとんどです。これは、学校に通う為に仕事を辞めたり、仕事の量を減らして収入が減るよでは審査は通らないという事になります。

ですので、例えば夜間の大学や仕事に支障がでないような専門学校への入学であれば審査が通る可能性は高いでしょう。

もっとも民間金融機関の場合は融資担当者との面談があるため、虚偽の申告はできません。本当に学校に通いながら仕事を続けられるのかが重要なポイントとなります。

独立して生計を営んでいるか

これに関しては、さほど重要ではありません。民間金融機関の教育ローンの申込の場合は、所定の下限年収を超えていれば親と同居していても借りる事はできます。

独立して生計を営んでいるかどうかは、必ずしも同居・別居の関係や電機水道光熱費の負担をしているかは関係ありません。

もし仮に同居で水道光熱費を親が払っていても、就職して安定した収入を得ていれば教育ローンに限らず車のローン等も借りる事はできます。そう考えると独立生計を難しく考える必要はないでしょう。

しかしそれは、民間金融機関のローンの申込の場合です。

国の教育ローンは上記の表に記載しているように、収入に下限が設定されていません。そのため、「独立して生計を営んでいるかどうか」が重要になってきます。これを判断する基準はとても曖昧です。

主な要件とすればまず親の扶養を抜けている事です。扶養親族ではなく自分で税金を収めている事が条件となってくるでしょう。

ただし、これは就職していれば自動的に住民税や健康保険は引かれているので、アルバイト収入で税金や国民健康保険を切符で支払っている場合は、「独立して生計を営んでいるかどうか」にひっかかってしまう場合があるということです。

アルバイト収入であっても、今はダブルワークやトリプルワークといった働き方も当たり前の時代となっています。税金や国民健康保険だからといって、独立していないとは言い切れません。

この「独立して生計を営んでいるかどうか」は非常に難しい審査となってきますので、国の教育ローンを申し込む場合は注意が必要です。
教育ローンの種類国の教育ローン民間金融機関の教育ローン
独立生計の基準税金や健康保険の支払い形態などにより判定。
親の扶養に入っている場合は難しい。
前年度の収入が所定の金額以上であれば問題なし。
就学後も安定し継続した収入が見込めることが必要。

収入が少ない場合は借入金額がかなり少なくなる

民間金融機関の教育ローンの場合は、収入によって借入金額の上限が決まってきます。

例えば18歳で就職し、20歳になった時点で200万円の収入があり専門学校へ通いながら仕事をしたいと考えた場合、いくらまで借りれるか計算してみましょう。

返済負担率による計算

金融機関の借入金額の上限は、収入に対して年間の返済額がいくらまで可能かどうかで決まってきます。

これを「返済負担率」「返済比率」等と言います。

返済負担率の基準は、ほとんどの金融機関で平均して30%前後となっています。そのため上記の例であれば、200万円の30%まで年間の返済金として計算する事が出来ます。

200万円×30%=60万円

となりますので、月々5万円の返済金までであれば、借りれる計算となるでしょう。

月々5万円で借りる場合、年数によって借入の上限が変わってきます。下記の表はおおよその金額で設定した借入上限金額となります。

常陽銀行教育ローン

一括借入型:金利2.3%で計算した場合の見込み金額

参考:常陽銀行「返済シミュレーション

借入年数上限金額
3年170万円
5年280万円
10年500万円

大体の金額となりますが、年間返済額を30%以内に収めると、借入の上限金額は上記のようになります。

ただし、この金額は他に何も借りていない場合の上限金額となるため、他のローン(例えば自動車ローン等以外にもクレジットカードやカードローンなど)を既に持っている場合は、もっと金額が少なくなってくるでしょう。

民間金融機関の場合は自分の教育ローンを借りる事が出来るか

上記の返済シミュレーションで利用した常陽銀行の場合は、下記のような条件となっています。

自己啓発費用としてのローンを借りる事が出来る用ですが、保証会社がセディナとなる通常よりも高い保証料となります。

man
「妻の教育費用として夫が申込めますか?また、自分自身の自己啓発費用として自分で教育ローンを借りる事は出来ますか?」

セディナ保証付の場合は、お借主本人や配偶者の方の教育費用としてもご利用いただけます。

なお、常陽信用保証付の場合は、進学・在学されるご子弟の教育費且つその保護者の方からのみお申込みいただけます。あらかじめご了承ください。

常陽銀行教育ローンの資金使途の例

  • 受験料・入学金のご準備
  • 予備校や塾、夏期・冬期講習の受講費用
  • 授業料の支払いや教科書代などの諸費用
  • 通学するための交通費
  • 一人暮らしの家賃・生活費のための仕送り
  • 部活動の遠征・合宿費
  • 海外留学・海外実習等の費用
  • 英会話や資格取得などの費用

国の教育ローンの場合の資金使途の注意点について

国の教育ローンも一定の条件を満たしていれば、自分の教育資金を借りる事が出来ます。

上記の常陽銀行のように、自己啓発費用以外でも借入できるため、資金使途としては範囲が広がるため利用しやすいのが特徴です。

  • 就業年数が原則6カ月以上の学校
  • 中学校卒業以上の方を対象とする次の教育施設

ただし、大学等であっても在籍する課程や学校教育法によらない学校(デザイン学校など)については、対象とならない場合があります。

主な教育施設は、以下の通りとなります。

  • 大学、大学院(法科大学院など専門職大学院を含みます。)、短期大学
  • 専修学校、各種学校、予備校、デザイン学校
  • 高等学校、高等専門学校、特別支援学校の高等部
  • 外国の高等学校、短期大学、大学、大学院、語学学校
  • その他職業能力開発校などの教育施設

注意点として、以下の費用は対象となりません。

  • 正規の学籍で在籍しない場合(大学や短大の研究生・聴講生など)
  • 学生が公務員として通う学校(防衛(医科)大学校、航空保安大学校、海上保安(大)学校、気象大学校、税務大学校など)
  • 企業内教育訓練施設(学費がかからない企業内学校、特定の企業の従業員が給与の支給を受けながら教育・訓練を受ける学校など)

国の教育ローンの資金使途は、学納金(入学金や授業料)以外は以下の通りとなります。

  • 学校納付金(入学金、授業料、施設設備費など)
  • 受験にかかった費用(受験料、受験時の交通費・宿泊費など)
  • 在学のため必要となる住居費用(アパート・マンションの敷金・家賃など)
  • 教科書代、教材費、パソコン購入費、通学費用、修学旅行費用、学生の国民年金保険料など

教育ローンを本人が借りるのは現実的には厳しい

国の教育ローンや民間金融機関の教育ローンも制度上は、学生本人でも借りる事ができます。

しかし現実的に、必要な時期に必要な資金を借りれるかと言うと難しいと言わざる得ません。

教育ローンが一番必要な時期、義務教育終了後から成人になるまで、借りる事が出来ない事が一番の問題です。

特に、高校卒業後の18歳から専門学校や大学などへの進学で、教育費用が必要な時期に本人では借りれない点があるからです。

特に民間金融機関の場合の教育ローンは、本人が借りる事をあまり想定していない場合が多く、仮に本人でも借りれるケースがあったとしても、上記の常陽銀行のように自己啓発のための資格取得費用や、語学学校などの必要資金を対象としている場合がほとんどです。

まとめると下記の表のようになります。

年齢借入の可否
18歳~19歳未成年の為借入できない
20歳以上安定して継続した収入が必要
(正社員等での勤務したまま学校へ通う事が前提となる)

学生でも借入できる学生ローンはある

20歳以上の場合、学生でも借入できるローンは存在します。学生ローン等のカードローンや消費者金融がそれに当たります。

学生ローンという名前の通り、教育ローンとは違って審査は比較的安易に通ります。

しかし、これらの学生向けローンは金利が高めに設定されており、借りすぎると返済が困難になってしまう為、安易な利用は避けたほうがいいでしょう。

どうしても必要な支払いが発生した場合に、最小限の利用に限って使うべきローンと言えるでしょう。

奨学金の入学時特別増額制度を利用する

入学時特別増額貸与奨学金とは?

日本学生支援機構の奨学金を利用する際に、入学金用として毎月の奨学金とは別に10万円から50万円まで10万円単位で申し込みできる制度です。

奨学金は、そもそも毎月支給が基本となっているので、入学金の支払等には向いていません。

特に初年度の入学金や授業料の支払いは入学前となるので、入学後の手続きで支給される奨学金は間に合いません。基本的には、奨学金の支給は6月頃が最初の支給日となります。

入学時特別増額貸与分も同時期に貸与となるため、入学金用に使おうと思って申し込みをしていても支給時期が6月頃になるため間に合わないのが現状です。

以下の日本学生支援機構のホームページで、詳細な制度内容が紹介されています。

参考:日本学生支援機構「入学時特別増額貸与奨学金」

「ろうきん」の日本学生支援機構奨学生対する入学金融資制度を利用する

2018年8月現在、日本各地の労働金庫において入学時特別増額貸与奨学金を申込している学生向けに交付されるまでの間のつなぎ資金として、入学金を融資する制度があります。

時系列で手続きを表すと下記のようになります。

手続き次期手続き内容
高校在学中奨学金を在学中の高校などで申し込む。
その際入学時特別増額貸与制度の利用も忘れないように申込む。
専門学校や大学合格後
(1月~3月頃)
全国にある労働金庫で入学時特別増額貸与制度で申込をした金額を限度として学生本人が融資を受ける事ができる。(保護者の同意が必要)
専門学校や大学入学後
(6月頃)
入学時特別増額貸与制度が交付されたら労働金庫で借りていた分と相殺される。

入学時特別増額貸与制度が交付されたら、労働金庫で借りていた分と相殺されます。

この制度を利用する事によって、最大50万円を入学金や初年度の授業料の費用として前借りすることができます。

もしどうしても初年度の学納金の工面が教育ローンでできない場合は、こういった制度を利用して入学金を支払う計画を立てるのも一つの方法です。

以下に「ろうきん」の入学金融資制度に関するホームページを掲載しています。

尚、毎年制度については見直されているようなので、都度チェックして詳細はお近くの労働金庫まで問い合わせをしてください。

参考:労働金庫「日本学生支援機構奨学生対する入学金融資制度」

まとめ

学生本人が教育ローンを申込できる制度は「国の教育ローン」にも「民間金融機関の教育ローン」にもあります。

しかし、それらの制度は基本的に成人になってからしか申込できない事と、安定して継続した収入がある事が前提となっているため、高校を卒業したばかりの学生が申し込むのは難しいのが現状です。

申込できる状況としては、就職後に専門学校等の働きながら通える学校へ進学する際に、利用するのが現実的ではないでしょうか。

もし未成年で入学時や授業料に資金が必要であれば、奨学金を利用するのも選択肢として考える必要があります。特に、前述した入学時特別貸与制度を有効に活用する事で、入学金や授業料の支払いに備えておくことが重要です。

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