皆さんは、借り換えというとどういったイメージを持っているでしょうか。
昨今では住宅ローンの借り換えによって毎月の返済金額を減らしたり、複数持っているカードローンや消費者金融のローンを一本に借り換えて、毎月の返済の負担を減らすなどと言った借り換えが一般的になってきています。

もちろん医学部に通っていたり、学費の他にアパート代や仕送りまで教育ローンで賄っている場合は、1千万円を超えている教育ローンも実際にはありますが、滅多にないケースと言えます。
同様に、カードローンや消費者金融のように、10%以上の高金利の教育ローンもほとんどありません。
カードローンや消費者金融では、高金利のローンを低金利のローンで一本化する事によりかなり返済金額の負担が減りメリットがありますが、教育ローンにはあまり当てはまらない事が多いようです。
以上のような実態ですが、教育ローンにおいても他金融機関の教育ローンを借り換える事ができます。

詳しく解説していきたいと思います。
目次
どのような場合に借り換えが考えられるか

金利が低くなる場合の借り換え

まず一つは、教育ローンに限らずどのローンにも言えますが、金利が安くなることによって返済金が減額される事です。
高い金利の教育ローンを使っていた場合、他金融機関の低い金利の教育ローンに借り換える事が検討できます。
複数の教育ローンをまとめるための借り換え
次に考えられるのは、複数本の教育ローンを使っていて、毎月の返済金を減額する為に一本化を行うために借り換える事です。
これによって返済金を一本化し、毎月の返済金と最終返済日をわかりやすく管理する事ができます。
返済期間を延長する為の借り換え
三つめは、教育ローンを借り換えして返済期間を延長する事により、毎月の返済金を減額させることです。
金利が低くなる場合の借り換えのメリット

教育ローンを借り換える事によって、現在よりも金利が低くなることには大きなメリットがあります。
同じ返済期間でも、毎月の返済金額が減額される事になるため、総返済額がかなり下がる可能性があります。
例えば、大手メガバンクの教育ローンは4%前後、地方銀行や信用金庫の教育ローンであれば2%前後とカードローンや消費者金融程ではありませんが、金利にはある程度の差があります。

それを計算したのが下表となります。
表1
借入残高 | 返済年数 | 金利 | 毎月返済額 | 返済総額 |
---|---|---|---|---|
3,000,000円 | 5年 | 4.00% | 55,250円 | 3,314,974円 |
3,000,000円 | 5年 | 3.00% | 53,906円 | 3,234,364円 |
3,000,000円 | 5年 | 2.00% | 52,583円 | 3,154,997円 |
上記の表1は、教育ローンの残高が300万円残っていた場合、借り換える事によってどのくらいメリットが出るかを表した表になります。
4%の教育ローンを3%の教育ローンに借り換える事によって、毎月の返済額は1,344円少なくなります。返済総額では5年間で80,610円少なく済むことができます。
さらに4%の教育ローンを地方銀行などにある2.0%の教育ローンに借り換える事によって、毎月の返済額はさらに減額されます。
毎月の返済額は2,667円少なくなり、5年間での返済総額に至っては159,977円も減額される計算となりました。

金利が低くなる場合の借り換えのデメリット

教育ローンの借り換えにより、金利が低くなる場合、デメリットはあまり無いでしょう。
しいて上げるならば、手続きが多少面倒になってしまう事です。教育ローンの借り換えの場合、元の借入契約が教育ローンであることを証明しなければなりません。
例えば教育資金をフリーローンやカードローンで借りた場合等は、金融機関によっては教育ローンでの借り換えができないケースもあります。
前の契約が、教育ローンである事を示すことができる資料があれば、教育ローンでの借り換えは安易に手続きが進むでしょう。
どのローンでも金融機関での手続きは記入する書類が多かったり、何度も平日に来店しなければならなかったりと面倒な手続きが多いかもしれませんが、前述のように1%以上金利が安くなるのであれば多少の手間を惜しまず、手続きをするメリットはあるかもしれません。
上記の教育ローンの借り換えで注意しなければならない点は、同じ金融機関内では借り換えはできない点になります。
同じ金融機関でも、借りた時期によっては金利が低くなっていたりします。しかし、契約時の金利が適用されるため、同一金融機関での借り換えは基本的にできない所がほとんどとなります。
金利を低くするための借り換えを検討中の方は、現在ご利用中の金融機関以外で低い金利の金融機関を探し申し込む必要がある点に注意が必要です。
複数の教育ローンをまとめる事によるメリット

カードローンや消費者金融の借入によって、多重債務となった場合にローンの一本化をすることによって、毎月の返済金額を減らす方法は一般的です。
カードローンや消費者金融の場合は、金利が高い水準のため、借入金額が少なくても返済金額が高額になってしまうことがあります。
教育ローンの場合は、金利が低くても借入金額自体が大きい場合が多く、そのため毎月の返済金の負担も大きい場合があります。
当初借入時は返済できる予定で組んだとしても、在学中の思わぬ出費や、兄弟の分の教育費まで発生した場合教育ローンが2本、3本と口数が増えてしまう事があります。
それらの教育ローンを一本化し、返済期日をまとめることにより、返済負担を減少し正常なライフプランに戻すことができます。
表2.
借入残高 | 返済年数 | 金利 | 毎月返済金 | 返済総額 |
---|---|---|---|---|
2,000,000円 | 7年 | 2.50% | 25,978円 | 2,182,179円 |
1,000,000円 | 5年 | 3% | 17,969円 | 1,078,121円 |
500,000円 | 5年 | 2% | 8,764円 | 525,833円 |
上記のように、返済年数も金利もバラバラの状態の教育ローンを3本組んでいたとします。毎月の返済金額は、52,711円となっており決して低い返済金額ではありません。
給料が減少したり、自動車ローンや住宅ローンなどの他のローンを組んだりした場合は、少しでも毎月の負担を少なくしたいが現状です。
今回のケースでは、毎月の返済金を4万円程度に収めるように一本化できるか計算しなおしてみました。それが下記の表のようになります。
表3.
借入残高 | 返済年数 | 金利 | 毎月返済金 | 返済総額 |
---|---|---|---|---|
3,500,000円 | 8年 | 2.50% | 40,263円 | 3,865,291円 |
新たな教育ローンの金利が2.5%だったとした場合ですが、350万円を一本化し8年返済に組み直すことによって、毎月の返済金が約4万円にまで減額する事が出来ます。
複数の教育ローンを一本化する事によるデメリット

上記の表3のように、一本化する事によって毎月の返済金が減額できるメリットがありましたが、デメリットも生じてきます。
まずは、返済年数が長引いてしまう事です。毎月の返済金を少なくするのであれば、金利が余程低くならない限り返済期間が長くなります。

と思っている家庭には不向きかもしれません。最も教育ローンには、繰り上げ返済という制度があります。
繰上げ返済を有効に使い、教育ローンの返済と積立預金を併用してある程度金額が貯まった時点で繰り上げ返済を行うと言うのも一つの方法です。

教育ローン3本の時の返済総額は、三つ合わせて3,786,133円です。それに対して一本化後の返済総額は、3,865,291円となるため、一本化する事によって、79,158円多く支払わなければならなくなってしまいます。
この金額を多いと捉えるか、毎月の負担が減るのであれば、この程度は少ないと捉えるかは人それぞれだと思います。
ちなみに返済金額を減額することだけが一本化ではありません。
例えば住宅ローンの支払いが終わったり、自動車ローンの支払いが終わったことによってもっと多くの返済が可能という事であれば、毎月の返済額を増額して借り換える事も出来ます。
その際金利が安い金融機関をみつけて、借り換えれば返済総額は一気に下がります。
表4.
借入残高 | 返済年数 | 金利 | 毎月返済金 | 返済総額 |
---|---|---|---|---|
3,500,000円 | 5年 | 1.80% | 61,041円 | 3,662,485円 |
金利が、1.8%と低い教育ローンをみつけた場合を想定して計算します。
返済金額が毎月6万円程度まで上げる事ができるといった場合は、返済期間を5年で組み直すことによって返済総額が一気に下がります。
教育ローン3本の時は、3,786,133円だったのが金利を安くしたうえで、返済期間を短くする事により3,662,485円に減額できます。
それによって、1233,648円総返済額が減額できます。
それぞれの家庭の経済状況にあった一本化の方法により、メリット・デメリットを検討しながら一本化の検討をしてみてはいかがでしょうか。
返済期間を延長した教育ローンに借り換える事のメリット

教育ローンの返済期間には、各金融機関毎に最長期間が決まっています。5年~20年程度の長さが、一般的な教育ローンの返済期間になっています。
当初、自分が借りた教育ローンが5年返済までしかできずに、5年で借りてしまった場合、他の金融機関に借り換える事によって、返済期間を延長する事が出来ます。
表5.
借入残高 | 返済年数 | 金利 | 毎月返済金 | 返済総額 |
---|---|---|---|---|
3,000,000円 | 5年 | 3% | 53,906円 | 3,234,364円 |
例えば、300万円の教育ローン(金利3.0%)を5年返済で借入したとします。すると毎月の返済金は、53,906円となり毎月約54,000円の支払い負担があります。
教育ローンだけであれば、毎月の返済に困る事はないかもしれませんが、途中で自動車を買い替えなければなくなって、自動車ローンを組まなければなくなったり、在学中の教育費用(仕送りやアパート代、諸経費や教科書代等)が思いの外多くかかって、毎月の返済が負担に感じられるようになった場合は、他の金融機関の教育ローンの制度を調べてみましょう。
中には返済期間が、最長20年といった長期にわたる教育ローンも存在します。

表6.
借入残高 | 返済年数 | 金利 | 毎月返済金 | 返済総額 |
---|---|---|---|---|
3,000,000円 | 10年 | 3% | 28,968円 | 3,476,187円 |
上記の表6は、300万円の教育ローンを同じ金利の金融機関で、10年返済で借り換えた場合の毎月の返済金学になります。
これまで53,906円だった毎月の返済金額が、10年返済に期間を延長して借り換える事によって、28,968円となり、3万円以下にまで返済金の負担を減らすことが可能です。
返済期間を延長した教育ローンに借り換える事のデメリット

ただし、返済期間を延長するという事にはデメリットも存在します
一番大きなデメリットは、返済期間が長期化する事で返済総額が大きくなってしまう事です。
上記の表5の事例では、5年返済の場合は返済総額が3,234,364円でしたが、10年間に延長する事によって、表6のように3,476,187円に増額してしまいます。
差額を計算すると、金利負担分が241,823円の支払い金額が増える事になります。
このデメリットを少しでも軽減するには、借り換える際の教育ローンの金利を少しでも低い金利の教育ローンを選ぶことが一番重要になります。
まとめ

金利の引き下げによる毎月の返済額、総返済額の減少や毎月の返済金額が負担に感じている家庭によっては、一本化や返済期間を延長した借り換えをすることによって、毎月の負担を少なくする事が出来ます。
ただし、返済期間を延長する借り換えをしていまうことによって、毎月の返済金額は減少しますが、返済総額が増加してしまうと言うデメリットがあることも、頭に入れておかなければなりません。
また、教育ローンの借り換えというのは、同じ金融機関では基本的にできない事にも注意が必要です。
もし借り換えを検討したのならば、違う金融機関の教育ローンに借り換える必要がある点にも注意しましょう。
昨今は教育ローンに限らず、住宅ローンやカードローン等、様々なローンにおいて借り換えは一般的になっています。
金融機関においても、最初から必要書類を集めて資金計画を作る新規の教育ローンよりも、借り換えの教育ローンの方が手続きが簡単な場合もあります。
少しでも返済金の見直しをしてみたいと思っているのであれば、お近くの金融機関へ今の教育ローンの返済予定表(償還予定表)を持って相談に行く事をおすすめします。