【保存版】教育ローンと奨学金は併用すべき!おすすめの併用方法とは?


教育ローンと奨学金、どちらを利用したらいいか迷っている方も多いのではないでしょうか。

教育ローンと奨学金の片方だけを利用しようとすると、支払時期や総支払額の違いによって損をしてしまうケースがあります。

損をするだけならまだしも、支払時期に間に合わずに入学手続きができなくなってしまう事もあるため注意が必要です。

教育ローンと奨学金は、上手に併用する事によって、一番効果を発揮します。

どの時点で教育ローンを利用すればいいのか、奨学金を利用するメリットがあるのかについて今回は解説していきます。

教育ローンと奨学金の違い

教育ローンと奨学金の種類について

表1.教育ローン、奨学金の種類

教育ローン・民間金融機関の教育ローン
(銀行・信金・農協・労金など)
・国の教育ローン
奨学金・日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金
1.給付型奨学金
2.無利子奨学金
3.有利子奨学金
・あしなが育英会、交通遺児育英会等の奨学金
・各自治体の奨学金

教育ローンや奨学金は大きく分けると、上記の表のようになります。

民間金融機関の教育ローンは、金融機関の数だけ種類が存在し、制度も金融機関によって大きく異なってきます。

それに比べて国の教育ローンは決まった制度となっており、日本全国どこで申し込みをしても同じ金利、同じ制度で借りる事が出来る教育ローンとなっています。

対して、奨学金は一番利用者数が多いのが、日本学生支援機構の奨学金となります。その中でも一番多いのが、「3」有利子奨学金、一般的に第二種奨学金と呼ばれる奨学金になります。

給付型奨学金は、所得の低い家庭や、児童養護施設等に通っていた学生向けの制度となるため、一般的にあまり利用件数が多くありません。

又、「2」無利子奨学金(第一種奨学金)は一定程度の高校での成績が必要となるため、全員が受ける事ができる奨学金では無い為、多くの学生は③有利子奨学金を利用するのが現状となっています。

教育ローンと奨学金の制度の違いについて

表2.教育ローンと奨学金の制度の違い(2018年7月現在)

制度教育ローン奨学金
申込者(借りる人)保護者(親)
※金融機関によっては兄弟等の親族でも可能な場合もあります。
学生本人
申込方法金融機関窓口、又はインターネットで申込在学中の学校(高校)で申込
金利1.5%~5%
※金融機関によって違う
0.01%又は0.22%
※変動型、固定型金利のどちらかを選択
受取方法一括支給、又は都度支給毎月支給
限度額民間金融機関2,000万円
国の教育ローン350万円
毎月20,000円~120,000円
交付時期(受取時期)申し込み後1週間~2週間後入学後、ほとんどの場合6月以降

教育ローンと奨学金の一番大きな違いは、その受取時期と受取方法にあります。

教育ローンは申込んだ金額を一括で受け取ったり、授業料等の振込で必要な都度受け取る(借りる)事ができるのに対して、奨学金は毎月決まった金額を受け取る方法しか選ぶことができません。

そのため一括して交付が必要な、入学金や授業料の納付には支払計画をしっかりと立てなければならない点に注意しなければなりません。

限度額が大きく違う所も気を付けなければなりません。

民間金融機関であれば、金融機関ごとに借入限度額が設定されており、300万円~2,000万円と金融機関によって幅があります。

大手都市銀行のほうが借入限度額が大きいと思いがちですが、都市銀行はリテール分野(個人の貸し出し)にあまり力を入れていないため、地方銀行やネット銀行、労働金庫などの方が借入限度額が大きく利息も低くなっている傾向にあります。

国の教育ローンは、民間金融機関の教育ローンに比べて比較的低金利となっていますが、借入限度額が350万円となっている事に注意が必要です。
teacher
それ以上の教育資金が必要な場合は、民間金融機関を始めから選んでおいた方が良いでしょう。

何故なら、学年の途中で民間金融機関の教育ローンに切り替えようと思っても、審査があるため通らない危険性があるからです。

最初から350万円以上の教育資金が必要で、全て教育ローンで賄う計画を立てている場合は借入限度額に注意してください。

奨学金の場合の借入金は4年間でいくらになるか?

奨学金は毎月支給型の借入となりますが、その支給額については20,000円~120,000円と幅があり、10,000円単位で選ぶことができます。(医学部などの場合にはさらに増額する事も出来ます。)

毎月の支給額を年単位で直すと、いくら支給されるのか下記の表で確認し、授業料の納付の参考にして下さい。

表3.奨学金の支給額について

毎月支給額1年間の合計金額4年間の合計金額
20,000円240,000円960,000円
60,000円720,000円2,880,000円
80,000円960,000円3,840,000円
120,000円1,440,000円5,760,000円

国の教育ローンを取り扱っている日本政策金融公庫の平成30年に取った統計によると、

  • 国公立大学の在学費用の平均金額が503.2万円
  • 私立大学文系の場合は738.1万円
  • 私立大学理系の場合は807.8万円

の費用がかかります。もちろんこれらには、入学金や授業料の他、アパードや下宿費用、仕送り代金等を含めた全ての総額の平均となるので、全員がこの金額を必要としている訳ではありません。

しかし、奨学金の借入金額が多いように感じられる人もいるかもしれませんが、現実的に500万円~800万円もの教育資金が必要な現状があるのも事実なのです。

教育ローンと奨学金、どっちがお得なのか?

man
「教育ローンを借りる場合と奨学金を借りる場合では、どちらの方がメリットがあるのでしょうか?」
teacher
「表2.教育ローンと奨学金の制度の違いにも記載があるように、金利の面で言えば圧倒的に奨学金の方が低金利となっています。」

実は奨学金にはさらに大きなメリットが存在します。

それは、「在学期間中は金利がつかない」という事です。奨学金の場合、卒業後(最終資金交付後)に金利が決定するため、それまでは金利の支払い等をしなくて良くなっています。

教育ローンの場合も在学期間中の据置制度という物がありますが、それは利息の支払いをしなければならない制度となっています。

実際この2つの制度の違いによって、どれだけ総支払額に影響が出るのか計算してみましょう。借入金額は、わかりやすく奨学金毎月6万円支給の場合の288万円で計算します。

教育ローンの場合

  • 借入金額288万円を一括借入
  • 金利2.5%
  • 4年間据置
  • 11年間返済

で計算した場合は、在学中(4年間)の据置返済時の金利。

288万円×2.5%×4年間=288,000円

288万円を11年間で返済する場合の総返済金額:3,297,107円

総支払金額:288,000+3,297,107=3,585,107円

奨学金の場合

  • 毎月支給額6万円(合計288万円)
  • 金利0.22%
  • 4年間据え置き
  • 17年返済

在学中(4年間)の据置時の支払金額:0円

288万円を17年間で返済する場合の総返済金額:2,934,456円

上記の計算を表でまとめると下記のようになります。

在学中の支払金額卒業後の支払金額総支払金額
教育ローン288,000円3,297,107円3,585,107円
奨学金0円2,934,456円2,934,456円

上記を見ると、奨学金の方が教育ローンよりも650,651円安く抑える事が出来ます。

奨学金の場合は支払期間が何パターンか決められており、今回計算した方式では17年間の支払いと長期になりますが、圧倒的に奨学金の方が支払金額が安くなっています。

では何故教育ローンという物が存在し、それを利用する人がいるのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

それについては次章、奨学金制度の矛盾点にの項目で説明します。

教育費用(入学金、授業料等)の必要時期と奨学金制度の矛盾点

教育ローンと奨学金の総支払金額を比べた際に、奨学金の方が総支払金額が圧倒的に安く済むことがわかりました。

それでは、なぜ教育ローンを利用する人が多いのかと言うと、まず一つの理由としては「子供にローンを組ませたくない」という理由があります。

基本的に未成年はローン契約を組むことができないようになっているため、奨学金と言うのが子供にとって初めて組むローンとなります。

奨学金の金額は、上記の表を見てわかるとおり莫大な金額となるため、まだ就職もしていない学生が組むには抵抗がある家庭も多くあるようです。

教育ローンを選ぶ一番の理由は奨学金が初年度の納入金(入学金、授業料)に間に合わないため

「表2.教育ローンと奨学金の制度の違い」の奨学金の交付時期に記載があるように、奨学金は入学した年度の6月頃から支給が開始されます。

毎月支給であるため、初年度の納入金(入学金や授業料等)の納付時期に間に合わない欠点があります。

通常であれば、入学金は合格通知が来てから1~2週間程度で納付しなければなりません。その時期は入学前の1月~3月頃となっているため、教育ローンを利用しなければ間に合わないのが現状です。

奨学金の入学時特別増額制度とは

日本学生支援機構の奨学金には入学時特別増額という制度があります。

この制度は、入学時にかかる費用が大きい為、100,000円~500,000円を毎月の奨学金の他に支給される制度です。この制度を利用する事により、入学金を納入する事ができそうですが、この入学時特別増額にも欠点があります。

その欠点とは、支給時期が毎月の奨学金の1回目の支給時期となるため、通常であれば6月頃になります。

せっかく500,000円の特別増額を設定して、入学金の納付に使おうと思っても6月の支給ではとても間に合いません。

入学時は教育ローン、在学中は奨学金のすすめ

man
「奨学金だけでは初年度納入金に間に合わない事がわかりましたが、一体どうしたらいいのか?」
teacher
「そこで活用したいのが教育ローンとなります。」

奨学金は大学や専門学校へ入学後に正式に受給の手続きをするため、初回の支給が通常であれば6月頃となります。

入学金の納入が必要な1月~3月の時期には、教育ローンを利用して納入するように計画しておくとスムーズに手続きが進むでしょう。

受験費用や入学金、前期の授業料等、国公立大学や私立大学では下記の金額が入学前に必要となります。

学校入学時費用
私立短期大学58.7万円
国公立大学69.2万円
私立大学文系92.9万円
私立大学理系87.0万円

上記の表は「国の教育ローン」を取り扱っている、日本政策金融公庫が調査した学校納付金(入学金や授業料等)や入学しなかった学校を含めた受験費用や納付金額を含めた平均金額になります。

一般入試での入学を検討しているのであれば、1月~3月の間に上記の金額が必要となってきます。

上述の通り奨学金の入学時特別増額は間に合いませんので、貯蓄での支払いが足りない場合は教育ローンを利用するしかないのが現状です。

そこで、教育ローンと奨学金の上手な併用方法をおすすめします。

奨学金の申込を忘れずに手続きしよう

まずは優先順位として、奨学金の申込を忘れずにしなければなりません。

奨学金の申込は在学中の学校(高校)によって申し込み方法や時期が異なります。忘れないようにしっかりと日程を確認し、奨学金の申込をしましょう。

その際、毎月の金額や入学時特別増額の利用をどうするか等を決めなければならないので、奨学金でいくら使うか、教育ローンでいくら使うかの割合を検討しなければなりません。

子供の将来の支払いに無理の無いように計画しなければなりませんが、教育ローンでいくら借りれるかわからない時点での申込は危険です。

教育ローンの仮審査を利用しよう

各金融機関では教育ローンの仮審査というものをやっています。自分がいくら借りれるのか事前に申し込むことによって調べる事が出来ます。

なるべく多めの金額で仮審査を申し込んでおき、本申込の際には奨学金との割合を検討しながら少なめの金額に変更して申し込むのがおすすめです。

万が一民間金融機関の仮申し込みで審査が不承認となってしまった場合は、焦らず他の金融機関も申込んでみましょう。

金融機関によって審査基準は異なるため、一つの金融機関がダメだったからと言って全ての金融機関で審査が通らないとは限らないためです。

また、民間金融機関よりも比較的審査が通りやすい「国の教育ローン」を申し込むのも一つの方法です。

teacher
民間金融機関の審査が大丈夫であれば、国の教育ローンの審査も通る可能性が高い為、どちらを利用するかは後日正式に検討しましょう。

まず大事なのは、自分が教育ローンでいくらまで借りられるかを事前に調べる事です。

入学予定の学校の必要資金を調べよう

次に入学先の学校での資金がいくら必要なのかを見積もっておく必要があります。

日本政策金融公庫の調査によると、入学先が自宅外通学の場合は入学時費用の他に仕送り費用や初期費用(アパート代や家電・家具代等)によって、137.5万円多く必要となるそうです。

入学金と授業料の合計が80万円だった場合、アパートや寮等で別途費用が必要な場合はその分も含めて必要資金を計算しなければなりません。

また、後期の授業料が必要な時期までに奨学金を計画的に貯金して1年目後期、2年目前期と順番に授業料を支払っていく必要があります。

国の教育ローンは1年毎にしか借りれない点に注意が必要

国の教育ローンの利用を検討している場合に注意が必要な点は、民間金融機関の教育ローンと違い1年毎の必要資金しか借りる事が出来ない点です。

もし国の教育ローンの利用を検討している場合は、毎年申し込みをしてその都度必要資金を審査する必要があります。

そのため年度の途中で審査が通らなくなってしまう可能性も無いとは言い切れません。

奨学金は生活費、教育ローンは学納金として割り振って計算する

最も現実的なやり方として、奨学金を毎月の生活費として利用し、教育ローンを使って入学金や授業料の納付をするといった方法があります。

入学金や授業料等の学納金は、あらかじめパンフレットや学校案内に詳細が載っているため計算しやすいのが特徴です。

教育ローンの申込をする際に学校のパンフレット等を利用して、年間の授業料を目安に仮審査をしてみるのをお勧めします。

  • 奨学金の申込をする際には、
  • 自分が進学する学校が通える範囲にあるのか
  • 民間アパートを借りなければならないか又は寮や下宿が備わっている学校なのか

を事前に調べて、大体の生活費がいくらかかりそうかを調べておくと申し込みしやすいでしょう。

入学時特別増額はその際の敷金礼金代や、1年目後期の授業料、家具家電の購入費用等に使うものとして計算しておいた方が安心できます。

間違っても1年目の入学金や前期授業料の納付には、間に合わないからです。

カードローン型教育ローンのすすめ

最近の民間金融機関では、一括融資型の教育ローンの他に、カードローン型教育ローン(又は当座貸越型教育ローンなど)という商品が一般的になりつつあります。

これはどういった教育ローンかと言うと、あらかじめ審査で教育ローンの限度額を設定し、必要な時に必要なだけ借りる事ができる商品となっています。

返済は卒業後から始まるため、在学期間中は利用した分の利息のみを支払えばいいことになる為、在学期間中の家計への負担も極力減らすことができます。

このカードローン型教育ローンと奨学金を併用する事により、必要な都度教育ローンを利用し、毎月の生活費や家賃代等を奨学金で賄う事により計画的なやり繰りができる事となります。

また、万が一急な出費(教科書代や課外授業等)が発生した場合にもカードローン型教育ローンであればその都度借入が出来る為、限度額の範囲内であれば、あらゆる場面に備える事ができます。

まとめ

  • 奨学金だけでは入学金等の納付に間に合わないので注意が必要
  • 教育ローンと奨学金を比べると奨学金の方が低金利
  • 奨学金は在学期間中に利息がかからない
  • 教育ローンは在学期間中でも利息の支払いが発生する
  • 入学時費用として60~100万円の費用が1~3月の間に必要となる
  • 奨学金の入学時特別増額を利用しても交付時期は入学後(6月頃)
  • 入学時費用を自己資金以外で賄うには教育ローンの利用が必須
  • 事前に教育ローンの限度額を調べる仮審査の利用をする
  • 奨学金の申込を忘れないようにする(在学中の高校での手続き)
  • 入学時の教育ローンと在学中の奨学金を上手に併用する
  • 都度借入ができるカードローン型教育ローンの利用をおすすめ

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