授業料や入学金などに使える教育ローンというものがあります。教育ローンはそもそもどういったものなのでしょうか。教育ローンを利用するには大学生や短期大学、専門学校または高校等の学費等に利用する事が出来ます。中には私立の中学校や小学校等、通信教育などに利用できる教育ローンも存在します。
今回は教育ローンの利用条件や審査条件等を解説していきます。教育ローンを利用するに当たり、どういった条件が必要なのか再確認しておきましょう。
目次
教育ローンはどういった人が利用できるのでしょうか

収入と勤続年数から利用できるかどうか判断される
教育ローンは学生を対象にした授業料や入学金、アパート代や寮費などを賄う事が出来るローンの種類になります。ただし、一般的にはローンを申し込むのは学生本人ではなく保護者である親が申し込むローンとなります。
教育ローンは一定以上の収入がある人でなければ申し込むことができません。教育ローンを組む際の条件の欄には「継続して一定以上の収入のある方(見込める方)」等といった事が書いてあるケースがあります。一定以上の収入は金融機関によって違いますが、前年度年収が税込150万円以上等と明確に条件を提示している場合が多いようです。
さらに継続して収入のある方という意味は勤続年数の事を指します。こちらも金融機関によって条件が違う場合がありますが、ほとんどの場合は勤続1年以上なければ教育ローンを組むことができないようです。以上のように教育ローンを組む際の最低条件として勤続年数が1年以上と前年度年収が150万円以上という事を念頭において申込を検討するようにしましょう。
なお、前年度年収の証明資料として源泉徴収票や住民税決定通知書等を使用する場合が多いようです。しかし年の途中で転職した場合や、年の途中から入社した場合等は1年以上働いているにもかかわらず源泉徴収票には1年分の収入が明記されておりません。
こういったケースの場合も、金融機関によって異なってはきますが源泉徴収票+給与明細などで1年分の見込み年収を算出し審査をするケースが多いようです。
進学先の学校によって利用できないケースもある
教育ローンは学生であれば誰でも利用できると思いがちですが、条件によっては利用できない教育ローンもあります。自動車ローンであれば自動車の購入という明確な目的物があるためほぼすべてのケースで利用できますが、教育ローンの場合は教育費といっても多くの種類の教育費があるため申込先の金融機関によって取り扱いができる教育ローンとできない教育ローンが存在します。
例えば、ある金融機関では小学校でも幼稚園からでも教育ローンを利用する事ができますが、一方の金融機関では義務教育期間中(小学校、中学校など)の教育費は教育ローンで利用できない場合があります。小学校や中学校といっても私立の学校に通うとなればそれなりの金額を必要とします。しかし金融機関によっては教育費だからといって必ずしも取扱いできるとは限らない点に注意が必要です。
また、昨今の教育ローンは上述のケースとは逆に様々な教育資金に利用できる教育ローンが存在している事も事実です。例えば自己啓発費用としての教育ローンも存在し、資格取得のための通信講座など、社会人の教育資金にも利用できるような教育ローンもあります。また、進学先の高校や大学に払う為の教育資金だけでは無く、塾や予備校に通う為の費用も教育ローンで使える場合があります。他にも受験費用や交通費、パソコンの購入代金、部活動の費用など多くの用途で使える教育ローンも存在しています。これらの教育ローンが何に使えるかどうかは金融機関の商品によって全く異なってきますので、教育ローンを利用する際には自分が選んだ金融機関の教育ローンがどこまで利用できるのかしっかりと確認する必要があります。
金融機関によって小学校や中学校等の義務教育機関の教育費用には利用できない場合があるため注意が必要です。その一方で通信教育などの自己啓発資金や学費以外の付属費用等、幅広い資金使途で利用できる教育ローンもあるため金融機関を選ぶ際には注意して選ぶ必要があります。
教育ローンが利用できない場合の事例

勤続年数、前年年収不足の場合
勤続年数が1年に満たない場合は教育ローンの利用が難しい事は上記で説明しましたが、金融機関によっては雇用形態も見られるケースがあります。勤続年数が1年以上あったとしても雇用形態が契約社員や派遣社員だった場合、通常の正社員の勤続年数1年という条件よりも厳しい審査条件になってしまう場合があります。
明確に明記されているケースはあまりありませんが、契約社員や派遣社員等の場合、ローンを組む際に勤続年数が3年以上無いと審査が通らないといった金融機関も存在します。これは雇用期間の無い正社員に比べて契約社員や派遣社員の方が安定した収入を確保しづらいと考えられているためだと思われます。
同様に、サラリーマンなどの会社員ではなく自営業者や個人事業主等の場合も勤続年数が3年以上ないと審査が通りづらいと言われています。勤続年数1年以上というのはあくまで会社員などの正社員として1年以上という意味が強いようです。
収入源として正社員以外の契約社員や派遣社員、又はアルバイトやパート収入だった場合、前年年収150万円というのも審査条件が厳しく設定される場合があります。これも金融機関によって取り扱いが異なりますが勤続年数が短く雇用形態が正社員以外の場合は通常の借入金額よりも減額されて審査される場合があるようです。
又、自営業者等の場合は前年年収が150万円以上というだけではなく、過去3年間の所得証明等で平均値を見られるケースもあります。自営業の場合は会社員のように一定の収入が得づらいため、安定して継続した収入が見込めるかどうかと言うのを過去3年分の収入(利益)でみられる場合が多くあります。そのため税金対策としてあまり経常利益を出さないような確定申告をしていると審査が通りづらいと言われています。
資金使途が金融機関の教育ローンと合致しなかったケース
自己啓発資金にも教育ローンが使えるケースがあると記述しましたが、自分の大学院進学費用の場合はどうでしょうか。あるケースでは、仕事をしている本人が休職して大学院へ進学する為に教育ローンを利用しようと検討していました。
しかし金融機関へ相談へ行くと教育ローンの利用は難しいとの回答でした。何故自己啓発資金の利用もOKな金融機関にも関わらず教育ローンが利用できなかったのでしょうか。教育ローンの利用条件には「安定して継続した収入がる」事が条件となります。例え勤続年数が1年以上あっても、前年年収が150万円を超えていて審査に通るのに十分であっても休職して大学院へ通う事によって今後の収入が絶えてしまうのであれば審査が通らないという事です。
教育ローンの審査条件とは

返済負担率からわかる審査条件
教育ローンに限らず、自動車ローンでも住宅ローンでも返済負担率による審査が重要となってきます。返済負担率とは自身の年収における返済金の割合を%で表したものです。一般的に収入における返済負担率の割合は30%が審査基準となっている金融機関が多くあります。金融機関によって条件が異なってくる為35%や40%が限度となっている金融機関もあります。
簡単に説明すると年収が400万円だった場合、30%である120万円以内に返済金が収まっていれば審査が通るという事です。120万円という事は毎月の返済金額が10万円以内に収まっていれば審査が通ります。ただし、これは新たに申し込む教育ローンだけではなく既存のローンやクレジットカード、割賦購入等をすべて含めて30%以内に収めなければなりません。
例えば教育ローンを申し込もうと検討している方が自動車ローンで毎月5万円の支払いをしていたとします。その他にクレジットカード等の利用が全くない場合は教育ローンで新たに借入できる限度額は毎月5万円までとなります。毎月5万円が借りられるという事は借入金額としてはいくら借りる事が出来るのでしょうか。答えは毎月の返済金額と返済期間を計算する事によって借入限度額が算出できます。
金利3%で計算した場合
借入期間 | 毎月の返済金 | 借入金額 |
10年 | 48,280円 | 500万円 |
6年 | 45,581円 | 300万円 |
2年 | 42,981円 | 100万円 |
上記は返済シミュレーションを利用して借入期間と借入金額から毎月の返済金額を算出した表になります。上記の例でいうと、教育ローンで300万円借りようと検討している場合は返済期間が6年以上なければ審査に通らないという事です。300万円を5年で借りようとすると毎月の返済金額が5万円を超えてしまい返済負担率が30%を超えてしまいます。そのため6年以上の返済期間で借りて毎月の返済金額を5万円以下に設定する事により審査を通りやすくするということです。
このように返済期間を長くする事によって毎月の返済金を抑える事により借入金額を増やすことができます。300万円で5年返済の審査は通らなくても500万円で10年返済であれば返済負担率が30%以内になる事から審査が通る可能性が高まります。
金融機関で事前審査をした場合、希望の借入金額を記入し申込むと、条件として「返済期間が〇年以上であればOKです。」といった回答が貰えることがあるのはこのためです。
過去の延滞やブラック情報に注意
審査の過程で返済負担率をクリアしていても謝絶になってしまう教育ローンもあります。こういった際には過去の延滞履歴やブラック情報に注意しなければなりません。教育ローンに限らず金融機関でローンを組む際には必ず信用情報機関に個人信用情報を紹介します。個人信用情報とはいったいどのようなものなのでしょうか。
個人信用情報とは簡単に説明すると過去の借入の履歴の開示ということになります。現在ほとんどの借入(ローン、カードローン、消費者金融、割賦販売、携帯電話分割購入、クレジットカードなど)は個人信用情報機関で管理されています。そのため個人信用情報機関に金融機関が開示を求めると、返済に遅れがあるかどうかや、過去に金融事故(自己破産や個人再生など)が無いかどうかまでわかる仕組みとなっています。
返済負担率をクリアしていても過去に延滞の履歴がたくさんある人や事故歴がある人は金融機関の審査で通らないケースがほとんどです。ただし、軽微な延滞の場合は個人信用情報機関に掲載されない可能性もあります。例えばローンの返済期日を忘れてしまって翌日や三日後等にすぐに入金したようなケースは延滞履歴として登録されないケースがあります。
金融機関によっても異なりますが、延滞履歴として登録されるのは月を超えて延滞しているケースや再三の督促にも関わらず延滞してしまっているケースが多いようです。間違って残高不足になってしまって連絡後すぐに入金したようなケースまでは延滞情報として登録されないような可能性が高いようです。ただし、これらの判断も金融機関によって異なってくる為既存の借入がある場合は忘れずに返済期日までに入金をしておき期日通りに返済できるように気を付けていることが重要です。
民間金融機関の教育ローンとは違う国の教育ローン

日本政策金融公庫の教育一般貸付のことを国の教育ローンと呼びます。日本政策金融公庫とは中小企業や個人事業主、また個人の方へ貸し出す日本政府から出資を受けている金融機関の事です。日本政策金融公庫では民間の金融機関からの借入が難しい会社や個人の方が借りやすいように小規模な貸付を行っています。
国の教育ローンは日本政策金融公庫の各支店で取り扱っていますが、委託先金融機関といって多くの銀行や信金、信組、農協などでも取り扱っています。近くの金融機関を訪れた際に国の教育ローンのポスターが貼ってあるかどうか確認してみてもいいでしょう。
国の教育ローンの利用条件とは
国の教育ローンはどのような人向けの教育ローンなのでしょうか。民間金融機関に教育ローンの相談に行った際にはほとんどのケースで自社(銀行など)の教育ローンを勧められます。ほとんどの金融機関では各種ローンにノルマがあるため融資額の増加の為にも自社の教育ローンを貸したいと考えています。
しかし、前述したとおり民間金融機関の教育ローンの場合は勤続年数や前年年収など厳しい審査条件があるため中々審査に通らない人も多く出てきてしまいます。そういった際に国の教育ローンの紹介されるケースがあります。
国の教育ローンとは通常の民間金融機関の教育ローンを借りる事が難しい人に向けてセーフティネット的な役割で存在する教育ローンとなります。そのため借入する際の条件として収入の下限が設定されていなかったり勤続年数が1年未満であっても借りる事が出来る場合があります。
ただし、民間の金融機関の教育ローンに審査があるように、国の教育ローンに対しても審査は当然あります。収入の下限が無いからと言ってどのような収入であっても借りる事が出来るとは限りません。あくまで通常の民間金融機関の取り扱っている教育ローンよりも審査が通りやすく設定されているということです。
審査が比較的通りやすい分、国の教育ローンの金利が高いのかというと、そういったわけではありません。民間金融機関の教育ローンの多くは金利が2%前後から都市銀行であれば4%前後であるのに対して国の教育ローンは1.76%と比較的低い水準となっています。
民間金融機関の教育ローンに比べて金利が低く、審査も比較的通りやすいのであれば誰しもが国の教育ローンを利用したいと考えると思いますが、あくまで民間金融機関の補完的な立場の国の教育ローンは誰でも利用できるというわけではありません。
国の教育ローンを利用する際には所得制限があるのです。通常の民間金融機関の教育ローンであれば、所得が高ければ高い程審査に通りやすくなるでしょう。しかし、国の教育ローンの場合は所得が高すぎるとそもそも申し込むことができないのです。
国の教育ローンは子供の人数によって所得制限があります。民間金融機関には無い特徴点の一つがこれです。例えば子供が一人の世帯であれば、世帯年収が790万円以上あると国の教育ローンを利用する事ができません。この世帯年収の上限金額は子供の人数が増える程緩和れてきます。
下記の表が子供の人数と世帯年収の上限の一覧となります。
子供の人数 | 世帯年収 |
1人 | 790万円 |
2人 | 890万円 |
3人 | 990万円 |
4人 | 1,090万円 |
5人 | 1,190万円 |
以上のように、民間金融機関の教育ローンが年収不足や勤続年数不足で通らなかった場合の選択肢として国の教育ローンはとても魅力的な商品です。
あくまで所得が低い層に向けた教育ローンではありますが世帯年収の範囲内に入っていれば利用する事は可能です。民間金融機関の審査に不安な点がある場合や、所得が低くて返済負担率での審査が難しいと自分で判断している場合は国の教育ローンも検討して見てはいかがでしょうか。
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