教育ローンとは?教育ローンの仕組み。メリットデメリットを解説


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「そもそも教育ローンってどんなローンなの?」

そういった簡単な疑問にも今回はお答えしたいと思います。子供が学校に入ると修学旅行の積立金や部活の遠征費や合宿代、私立の学校であれば授業料もありますし、例え大学や専門学校へ進学しなくてもそれなりの出費が膨れ上がってしまいます。

最近では子供が中学や高校に入ると同時に、スマートフォンを買ってあげたりパソコンを買ってあげたりと、学校にかかる費用以外にも生活費(特に食費やおこづかい)だって増える事になります。

教育ローンを上手に利用する事によって、子供の進学に合わせたライフプランの設計をすれば無理なく生計を維持できます。

日本政策金融公庫のホームページでは、毎年教育費負担に関する実態調査を公表しています。教育費と一口に言ってもどのような金額が必要なのか、調査結果を元に確認していきましょう。

入学費用にいくらかかるか。高校で約30万円、大学で約85万円

高校・大学等で入学時にどれくらいの費用が必要か

表1.入学先別にみた入学費用(子供一人当たり:平成30年2月資料より)

学校学校納付金受験費用入学しなかった学校への納付金合計
高校13.4万円12.9万円3.4万円29.6万円
高専・専修・各種学校31.2万円19.6万円6.4万円57.2万円
短大25.4万円24.1万円4.7万円54.3万円
大学44.2万円31.1万円10.0万円85.2万円

高校や大学への進学を漠然と考えていると、入学金の支払いで一括で大きな金額が必要な事に驚くことがあります。

特に高校進学の場合でも、入学時の納付金やすべり止めの私立受験費用などで、思っていたよりも多くの金額が必要な場合があります。

子供の進学先に係らず、ある程度余裕が無ければすぐに教育ローンの利用を選択肢の中の一つに入れたほうがいいでしょう。

国立大学と私立大学での入学時費用の違いについて

表2.国公立・私立別にみた入学費用(子供一人当たり:平成30年2月資料より)

学校学校納付金受験費用入学しなかった学校への納付金合計
私立短期大学29.6万円25.3万円3.8万円58.7万円
国公立大学29.9万円27.7万円11.6万円69.2万円
私立大学文系49.4万円33.9万円9.6万円92.9万円
私立大学理系43.5万円33.7万円9.8万円87.0万円

最近では国公立系の大学と私立の大学での入学時に必要な費用についてそこまで差が大きくなくなってきました。

国公立大学の入学時費用が約70万円に対して、私立大学は約90万円という事ですので、その差は「20万円程度」しかありません。

今の時代は国立大学を目指したからと言って、決して学費が私立に比べて大幅に安くなるわけではありませんので、入学時に焦らないためにも資料請求等により入学時の費用を事前に計算しておくことが必要となります。

国立大学の場合は試験日程が決まっているため、合格発表から入学金等の「納付の時期が短い」ケースも多い為、合格してから焦らないためにも事前に教育ローンの相談、申し込みをしておきましょう。

各金融機関で取り扱いは微妙に違いますが、ほとんどの金融機関では私立大学に入った場合と、国立大学に入った場合の両方に備えて必要資金を準備してくれるはずです。

国立大学に合格した場合はそれに必要な融資を受けて、万が一不合格だった場合は私立大学に必要な授業料等の融資が受けれるよう事前に相談しておけば、例えどちらのケースになったとしても安心です。

自宅外通学者への仕送り額について

大学や専門学校へ入学した際に、自宅から通える範囲の学校へ入学できるとは限りません。又、自宅から通える範囲に子供の希望するような学校が無いケースも考えられます。

そういった場合はアパートや下宿等での通学になりますが、当然食費や光熱費等の仕送りが必要になってきます。

自宅外通学者への年間での仕送り金額についてのアンケートがありますので、金額を確認して自分の子供がもし自宅外の学校へ通う場合に備えて確認しておきましょう。

表3.自宅外通学者への年間仕送り金額(平成29年度)

0万円0万円~50万円50万円~100万円100万円~150万円150万円~200万円200万円以上
11.10%13.20%35.60%26.90%9.20%4.00%

上記のアンケート結果から、年間の平均金額は93.0万円(月学7.7万円)という結果になりました。

学校に食事つきの寮や下宿があるかどうか、民間のアパートを借りる事になるかといった状況にもよりますが、年間で掛かる金額はとても大きな負担となっているようです。

少しでも節約したいのであれば、食事や光熱費込の寮が完備されている学校を探して入学するのがベストです。

民間のアパートの場合は、食費や水道・電気・ガス等の光熱費関係も別途発生する事になるので、それだけ仕送り金額での負担が大きくなるので注意が必要です。

表4.自宅外通学をするための初期費用(入学者1人当たりの費用:平成29年度)

25万円未満25万円~50万円50万円~75万円75万円~100万円100万円以上
33.00%32.70%25.00%3.00%6.20%

自宅外通学をするにあたって、アパートの敷金や礼金、入寮費などの他、家財道具の購入費用等にも金額が掛かります。平成29年度の統計によると、入学者一人当たりの平均金額は37.5万円となっています。

自宅外通学をする場合、特に民間アパートに入居する際は敷金や礼金、家賃を一括でおさめなければならず、それだけで37万円前後になるでしょう。

また、家具付きの物件もありますがそうでない場合は冷蔵庫やガス台、洗濯機等の生活に必要最低限の家具も買い揃えなければならず、思いがけない大きな出費となってしまいます。

上記「仕送り金額」と合わせると、「自宅外通学の初期費用+仕送り金額で137.5万円」もかかるため学費の他にも大きな負担が発生する事に注意が必要となります。

これらの生活資金に入学時費用を学校別に足すと下記の金額となります。

表5.自宅外通学時に必要な入学時必要総額

学校入学時費用仕送+初期費用入学時必要総額
高校29.6万円137.5万円167.1万円
高専・専修各種学校57.2万円137.5万円194.7万円
短期大学54.3万円137.5万円191.8万円
大学85.2万円137.5万円222.7万円
私立短期大学58.7万円137.5万円196.2万円
国公立大学69.2万円137.5万円206.7万円
私立大学文系92.9万円137.5万円230.4万円
私立大学理系87.0万円137.5万円224.5万円

自宅外通学をする場合は、概ね200万円前後の資金が一括で必要となる事に注意しておかなければなりません。

これだけの金額を一括で支払う際には銀行等での手続きも(本人確認など)複雑になりますし、あくまで初期費用なので、これからさらに教科書代やサークル・部活の費用なども発生する可能性があるので万が一のために教育ローンの準備をしておく事も必要になります。

国の教育ローンの場合でも、最短2週間申込から融資まで時間が必要となりますので、繁忙期にはさらに時間が必要になってきます。

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受験シーズンの2月~3月に焦って申し込む事の無いように、12月~1月の間に余裕をもって金融機関への相談から始めては如何でしょうか。

高校から入学先別にみた卒業までの費用は?

表6.高校入学から大学等卒業までに必要な入学在学費用

高専・専修・各種学校561.7万円
私立短大622.4万円
国公立大学741.3万円
私立大学文系976.2万円
私立大学理系1,045.9万円

※高校3年間の費用は公立・私立の平均金額で238.1万円としています。

上記の表では高校の入学・在学費用を公立と私立の平均値で計算していますので、公立高校の入学であれば金額はもう少し少なくなります。

しかし、それでも私立の大学であれば高校の費用を抜かしても、文系で645.2万円、理系では720.8万円の費用が卒業までかかる計算となります。

4年間での必要金額となるので、もし教育ローンを使わないでと考えているならば、計画的に貯金をしなければとても間に合わない金額です。

平成29年度のアンケートでは、教育費用の捻出方法として子供(在学者本人)がアルバイトをしている割合が19.4%、奨学金を受けている割合が19.0%となっています。

それに比べて教育ローンを利用していると応えた割合は7.1%となっています。(国の教育ローン、民間金融機関の教育ローン、地方自治体等からの借入を含む)

割合的に見ると、教育ローンを利用している割合よりも、「奨学金を受けている割合の方が圧倒的に多い」ことがわかります。

奨学金と教育ローンの一番大きな違いは、子供自身の借金となるのが奨学金であり、親(保護者)の借金となるのが教育ローンという事です。

教育ローンの場合は、親の信用力による審査もあるので誰でも借りれるという訳ではありません。

それに比べて、奨学金の場合はほとんどのケースで(有利子、無利子と違いはありますが)借りる事ができます。

子供に借金を作らせてまで学校へ行かせるか、親(保護者)が子供の卒業までは面倒を見るかの違いになりますので、どちらを選択するかはとても悩むポイントとなるかもしれません。

教育ローンを利用した場合と、自己資金のみで教育費を捻出した場合の差額は?

教育ローンを実際に利用した場合、利息が発生します。

その利息を足した総支払額と、自己資金のみで教育費を捻出した場合の差額はどれくらいの差になるのかを計算し、教育ローンを利用する際の参考にしてください。

教育費500万円をローンで借りて10年で返済する場合、金利年2.3%(保証料込の場合)

1.一括借入タイプ、在学中は利息のみの支払の場合

在学中卒業後返済総額
9,583円46,681円6,061,704円

一括借入タイプは、500万円を一括で借入して自分で都度必要な時に支払いをしていくタイプの教育ローンになります。

2.都度借入タイプ(入学時200万円、2~4年時100万円ずつの計500万円)在学中は利息のみの支払の場合

在学初年度卒業後返済総額
3,833円46,681円5,923,704円

都度借入タイプは最初に借入枠を決め、必要な時にその都度借入していくタイプの教育ローンになります。2年目、3年目と徐々に借入額が増えていくため在学中の支払利息が安く済むのが特徴となります。

参考サイト:常陽銀行教育ローンシミュレーション
http://www.joyobank.co.jp/personal/loan/education/simulation.html

今回のシミュレーションでは一括借入タイプと都度借入タイプ(カードローン型、当座貸越型)の2パターンでシミュレーションを行いました。

返済総額と、借入金額の500万円との差額を見ればわかりますが、

  • 一括借入タイプ:1,061,704円
  • 都度借入タイプ:923,704円

が自己資金で捻出した場合よりも、利息として支払わなければならない金額となります。

教育ローンのメリットとしては、在学期間中に利息のみの支払いが可能なため(今回のケースでは毎月9,583円)仕送りや家賃などの費用をその分捻出できる強みがあります。

仕送り費用の毎月平均額が7.7万円となっていますので、自宅外通学を検討している場合は、「教育ローンの利息のみの返済と併用」するなどして、在学費用(授業料等)以外の生活費を確保する必要があります。

高校入学までに、専門学校や大学卒業までの費用を貯める事が現実的に可能かどうか

上記の計算式によって教育ローンを利用する場合は、自己資金のみで卒業した場合の方が「約100万円得する」というメリットが算出できました。

しかし、現実問題として高校入学までに、

  • 専門学校卒業までにかかる費用約500万円
  • 私立大学卒業までにかかる費用約1,000万円

を貯金する事ができるのかが問題となってきます。毎月いくら貯金をすれば、自己資金のみで卒業までの費用を賄えるのかを計算してみたいと思います。

表7.貯金年数と毎月の貯金額

5年間10年間15年間20年間
毎月3万円180万円360万円540万円720万円
毎月5万円300万円600万円900万円1,200万円
毎月7万円420万円840万円1,260万円1,680万円

現実的な金額で考えると、教育費用として毎月5万円の貯金をしておくことで、15年間で900万円を貯める事が出来ます。

これであれば、私立大学へ進学したとしても入学費用や在学費用を賄えることとなります。

もしお子様が2人いるとすれば毎月7万円を20年間積み立てる事によって、約1700万円を貯金する事が出来ます。これであれば、お子様2人が専門学校や大学へ進学したとしてもある程度は安心できるでしょう。

しかし、実際には教育資金以外に住宅の購入を検討したり、車の買い替え等もライフプランの中で発生してくるのが現実問題としてあります。

特に、毎月の給料が手取り20万円程度であれば、その中から毎月7万円の貯金はかなり厳しいのが現実です。

教育費用のみで考えれば何とかなりそうな金額かも知れませんが、10年、20年先を見据えて住宅ローンを組む計画や、車を買い替える計画等を考慮しながら無理なく貯金を積み立てていく事が重要となります。

その中で不足した金額分だけを教育ローン(国の教育ローンや民間金融機関の教育ローン)や奨学金で賄っていくのが一番現実的な方法だと考えます。

いざと言う時の為の都度借入タイプ教育ローンの申し込み

「教育ローンを利用した場合」で登場した都度借入タイプの教育ローンですが、現在多くの「民間金融機関で採用」している新たな教育ローンとなっています。

名称は金融機関ごとに異なっているため、カードローン型教育ローンや随時貸越型教育ローン、当座貸越型教育ローンなど名称は様々です。

しかし、基本的な教育ローンの制度は同じで、当初の審査時に借入限度額である枠を決める審査を行います。

もし上記のようにしっかりと貯金をしていて、自己資金で教育費を捻出する計画であったとしても、当座貸越タイプの教育ローンであれば、「利用しない限り利息が発生しない」メリットがあります。

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いざと言う時の為に申し込みをしておき、万が一アパート代や仕送り代、生活費代等で足りなくなった際に利用できるように事前に審査・申込をしておくという方法も教育ローンの有効利用方法の一つとして検討して見ては如何でしょうか。

まとめ

教育ローン利用のメリット

  • 在学期間中の利息支払いを極力少なく抑える事ができる。
  • 長期で計画的な積み立てをしていなかった場合に有効である。
  • 奨学金と違い子供に借金を負わせないで済むことができる。
  • 都度借入タイプを契約することにより万が一の支出にも対応できる。

教育ローン利用のデメリット

  • 500万円借りた場合、自己資金で捻出するよりも約100万円多く利息を支払わなければな らない。
  • 教育ローンの利用には審査があるため、ある程度の収入と信用力が必要である。

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