教育ローンを借りる場合、なるべく支払金額を抑えたいと思う人は多いと思います。総支払金額を抑える為に重要な事は借りる金額を少なくする事と、金利が低い教育ローンを選ぶことです。
実際に教育ローンの契約をして借りてからでも総支払金額を抑える事はできます。それが繰り上げ返済です。繰り上げ返済を利用する事によって借入金額(残高)を少なくすることによって支払う利息の金額も少なくなります。
ただし、教育ローンの借入の場合は気を付けて繰り上げ返済をしないといけない点がいくつかあります。今回は繰り上げ返済する際の注意点やタイミングなどについて解説していきます。
目次
一般的な教育ローンの繰り上げ返済

一般的な教育ローンとは
一般的な教育ローンとは一括借入タイプの教育ローンの事をいいます。1年分の教育資金をまとめて借りたり専門学校や大学であれば2年分や4年分をまとめて一括で借りるタイプの教育ローンの事をいいます。国の教育ローンもこの一括借入タイプの教育ローンに分類されます。ただし国の教育ローンの場合は一回の借入で1年分に必要な教育資金しか借りる事が出来ない点が特徴点としてあります。
上記のタイプの教育ローンは借入してすぐに返済を開始するか、在学期間中は利息のみの支払いにして卒業後から返済を開始するか選ぶことができる場合がほとんどです。すぐに返済を開始するタイプの教育ローンは自動車ローンや住宅ローンと同じように借入した翌月からすぐに返済が開始されます。
元金据置返済を利用した教育ローンの場合は、在学期間中は借入した金額の利息のみを毎月支払います。卒業後から元金を含めた返済が開始され、毎月徐々に残高が減っていく事になります。そのため在学期間中は残高は減らない為、すぐに返済を開始する教育ローンに比べて利息を多めに支払わなければならないデメリットがあります。
教育ローンの繰り上げ返済方法
教育ローンを借りた場合、繰り上げ返済を行う方法は一般的に2種類あります。借入した金融機関の窓口で手続きをする方法と、最近ではインターネットバンキングを利用して繰り上げ返済できる金融機関も増えてきました。
一般的には金融機関の窓口へ赴いて、繰り上げ返済したい金額を渡すことによって残高に充当されます。その際通帳と印鑑が必要な金融機関もあるため、実際に手続きをする際には必要書類や持参物について事前に確認しておいた方がいいでしょう。
また、金融機関によっては繰り上げ返済をする際に手数料が必要になる金融機関も存在します。繰り上げ返済手数料が必要かどうかも事前に確認が必要となります。
繰り上げ返済できる時期についてですが、特に定めはありません。そのため自分が返済したいと思った時にいつでも繰り上げ返済が可能な事がほとんどです。貯金がある程度貯まったタイミングや思いの外、教育ローンを利用せずに済んだ場合など、自分の好きなタイミングで繰り上げ返済を行う事が出来ます。
教育ローンの繰り上げ返済時の注意点
上記のように、いつでも好きな時期に繰り上げ返済ができる教育ローンですが、注意点もあります。それは一度繰り上げ返済してしまうと再度借入する際にはもう一度最初から審査しなおさなければならない点です。
利用しないと思って繰り上げ返済をした後で、思いがけない諸費用や学費が発生した場合、繰り上げ返済してしまった金額を戻すことはできません。そのため本当に利用しない金額かどうかを十分に検討したうえで繰り上げ返済する必要があります。
例えば専門学校や大学へ進学した際には3年目や4年目に就職活動での交通費などで思いの外、多くの金額が必要となるケースもあります。早まって繰り上げ返済をした後で金額の不足に気づいてしまっては遅くなってしまいます。そういった意味では卒業後、教育資金を全て払い終わった後での繰り上げ返済が一番ベストなタイミングと言えるでしょう。
追加融資の手続きが面倒なので大目に借りて繰り上げ返済がベスト
一般的な教育ローンを借りる場合、在学期間中にどれだけ必要かを計算して借りる事となります。しかし少しでも利息の支払いを少なくしたい為に必要資金ギリギリで借りてしまうといざと言う時に資金不足に陥ってしまう可能性があります。
そういった場合、追加で融資を行うには再度最初から手続きが必要となりとても手間がかかってしまいます。手間がかかるだけなら多少の時間を要せば大丈夫なのですが、状況によっては追加の審査が通らないといった困った状況に陥ってしまう可能性もあります。
そうならないためにも最初の段階で必要資金よりも若干多めに融資金額を申し込んでおくことをおすすめします。在学期間中は入学金や授業料以外にも諸費用や教科書代、レポート作成のためのパソコン購入費用や帰省費用、就職活動の際の交通費など多くの金額が必要となるため、当初想定していたよりも必要資金が増えてしまうことがあります。
そこで、ギリギリの教育資金で申し込むよりも多少大目に余裕を持った資金計画を策定し、万が一使わない金額が出た際には繰り上げ返済を利用すると言った方法を取るのがベストと言えるでしょう。
繰上げ返済も可能なカードローン型教育ローンとは?

カードローン型教育ローンとは?
一般的な教育ローンは一括で借入を行い毎月の返済をしていくタイプの教育ローンのことを言います。国の教育ローン等もこの一般的なタイプの教育ローンになります。これに対してカードローン型教育ローンとは審査時に一定金額の枠を設けて、その枠内で何度でも卒業まで借りる事ができるタイプの教育ローンのことをいいます。
在学期間中は限度額の範囲内で何度でも借入する事ができるため、入学金や授業料の振込のタイミングや、アパート代が必要になった際の借入、教科書代が必要になった際の借入など、様々なタイミングで借りる事が出来ます。
在学期間中は利用した分の利息のみを支払い、卒業後から元金を含めた返済が始まるのがカードローン型教育ローンになります。あらかじめ限度額と返済期間を申込の際に設定しているため、卒業後は所定の返済期間に応じた金額を毎月返済する仕組みとなります。
カードローン型教育ローンは借りる際にATMで専用のキャッシュカードを利用して借りる事からカードローン型教育ローンや当座貸越型教育ローン等とも呼ばれる事があります。最近になってこのカードローン型教育ローンを取り扱う金融機関が増えてきました。増えた理由はカードローン型教育ローンの利便性にあります。
一般的な教育ローンを借入する場合は、1年分に必要な教育資金や大学生の場合は4年分に必要な教育資金などをまとめて借入する事があります。まとめて借入する事によってまだ使う予定の無い金額まで借りる事になります。そのため2年後、3年後に使い分の金額にまで利息が発生し、結果として総支払金額が大きくなってしまうデメリットがありました。
カードローン型教育ローンの場合は大学生の場合でしたら4年分に必要な教育資金の借入枠を決めるところから始まります。実際に金額を一括で借りるわけでは無く、借入の限度額を最初に決めてしまいます。そして入学金や授業料、アパート代や寮費など資金が必要になった際にカードを使ってATMから金額を実際に借りる仕組みになっています。
このカードローン型教育ローンのメリットは実際に利用した分にしか利息が発生しないという事です。一括で借りるタイプは最初にまとまった金額を借りる為利息が最初から大きくなってしまいますが、カードローン型教育ローンの場合は借りた分にしか利息が発生しない為最初の利息は小さく、借入が増えていくごとに利息が大きくなっていく仕組みになります。
現在一般的な金融機関であればインターネットバンキングが普及しているため、ATMやカードを利用した現金取引が難しい場合でもインターネットバンキングで借りて必要な授業料を振込すると言ったオンラインの取引も可能です。カードローン型教育ローンはインターネットバンキングの普及に伴ってより利用しやすくなっています。
カードローン型教育ローンは繰り上げ返済に向いている
カードローン型教育ローンは在学期間中であれば何度でもカードを利用して限度額の範囲内で借りる事が出来ます。在学期間中は毎月利用した残高に応じた利息を支払います。一括借入型の教育ローンと違い、実際に利用した分しか利息は発生しない事から利息の金額は最小限で済むのがメリットとなります。
利用した残高(元金)の返済は卒業後から始まりますが、カードローン型教育ローンの場合はATMやインターネットバンキングを利用して入金することもできます。ここでいう入金とは繰り上げ返済の事になります。
例えば入学金や授業料の支払用に100万円をカードローン型教育ローンから借入した場合、実際の支払金額が92万円だったとします。その場合は残った8万円をATM等を利用して入金する事で借入残高は92万円のみになります。
借入限度額が300万円だった場合は、残りの限度額が208万円となり在学期間中であれば再度借入する事が出来ます。カードローン型教育ローンは利用しなかった分をすぐにATMやインターネットバンキングを利用し戻すことができるため非常に繰り上げ返済しやすいローンともいえます。
また、もう一つの重要なメリットは繰り上げ返済してももう一度借りる事が出来るという事です。一括借入型の一般的な教育ローンの場合は繰り上げ返済を行うと再度借入する事はできません。そのため慎重に検討したうえで本当に必要ない分だけを繰り上げ返済しなければなりません。
しかしカードローン型教育ローンは繰り上げ返済した後でも再度、限度額の範囲内であれば借りる事ができるため複雑に考える事無く利用しない分はすぐに繰り上げ返済しても問題ありません。
国の教育ローンでも繰り上げ返済は可能

国の教育ローンを利用している場合、基本的には毎月の返済やボーナス時の返済で残高を減らしていきます。しかし万が一借入した金額が余ってしまった場合や、預貯金が思いの外貯まった場合等、繰り上げ返済をする事で少しでも利息の支払いを節約する事が出来ます。
国の教育ローンの繰り上げ返済には手数料は一切かかりません。一括で全額を繰り上げ返済する事も出来ますし、一部のみの金額を繰り上げ返済することもできます。手続き方法は申し込みをした取扱店舗に手続きに行き、繰り上げ返済したい旨を伝えるだけで大丈夫です。
繰り上げ返済したい旨を伝えると、正確な利息を含めた金額を計算し、所定の振込先を伝えられます。その際振込費用は自己負担となる点に注意が必要です。あとは決められた期日に繰り上げ返済の費用を振込するだけで手続きは完了です。
実際に繰り上げ返済をするとどれくらい利息の節約になるのか

ここでは実際に繰り上げ返済を利用するとどれくらい総支払額が軽減されるのか試算してみたいと思います。
国の教育ローンを30万円繰り上げ返済した場合のメリット
国の教育ローン 返済期間10年、金利1.78%で計算した場合
借入金額 | 繰り上げ返済 | 毎月返済金額 | 総支払金額 |
200万円 | 0円 | 18,400円 | 2,183,200円 |
200万円 | 300,000円 | 15,600円 | 2,155,700円 |
総支払額の差額
2,183,200 - 2,155,700 = 27,500円
上記の表は国の教育ローンで200万円を借りて30万円を繰り上げ返済した場合の総支払金額の差になります。繰り上げ返済後は支払期間は変えずに返済金額の減額で計算した金額となります。その結果繰り上げ返済しない場合と繰り上げ返済した場合の差額は27,500円となりました。
30万円の繰り上げ返済に対して27,500円の差額となるので比率としてはかなり大きな金額の差額と言えます。ただし、これは借入残高が満額残っている状態(据置返済を利用した場合の元金返済直前など)での差額となるので返済の途中で繰り上げ返済した場合のメリットはもっと少なくなってしまいます。
繰り上げ返済をするタイミングとしてはなるべく残高が多く残っているうちにしてしまった方がメリットが大きい事になります。
カードローン型教育ローンを借りた場合の返済例
カードローン型教育ローンは借入をした残高に対してのみ利息が発生します。そのため借入金が少ない最初の方は利息の金額が少なく、卒業間近の借入残高が多い時期には利息が多くなります。
カードローン型教育ローン 金利2%で計算した場合の利息例
残高 | 30万円 | 100万円 | 200万円 | 300万円 |
毎月の支払利息 | 500円 | 1,666円 | 3333円 | 5,000円 |
上記はカードローン型教育ローンの利用残高に応じた毎月の支払い利息の金額となります。例えば入学金の振込用として最初に30万円を借りた場合、残高30万円に対する利息の金額は500円となります。毎月500円の支払いのみで済みます。
授業料等の支払で100万円まで残高が増えると毎月の支払金額は1,666円となります。同様に借入残高が増えるごとに毎月の支払利息が増加していき、300万円の残高になると毎月の支払金額は300万円となります。
限度額が300万円のカードローン型教育ローンだった場合はこれ以上は借りる事はできません。後は卒業後元金を含めた返済が開始されます。元金の返済は当初予定していた支払期間を元に算出されます。
300万円を返済した場合の毎月の返済金額と30万円繰り上げ返済した場合の金額
教育ローン残高 | 返済期間 | 毎月の返済金 | 総支払金額 |
300万円 | 10年間 | 27,604円 | 3,312,484円 |
300万円 | 5年間 | 52,583円 | 3,154,997円 |
270万円(30万繰上) | 10年間 | 24,844円 | 3,281,236円 |
270万円(30万繰上) | 5年間 | 47,325円 | 3,139,497円 |
上記の表は300万円のカードローン型教育ローンを10年間で返済する場合と、5年間で返済する場合の毎月の返済金額と総支払金額を表したものになります。また、30万円を繰り上げ返済した場合の毎月の返済金額と総支払金額でどれだけ差が出るのかを表したものにもなります。
10年間での返済期間だった場合、30万円を繰り上げ返済すると総支払額の差は
3,312,484 ー 3,281,236 = 31,248円 となります。
5年間での返済期間だった場合、30万円を繰り上げ返済した場合の差額は
3,154,997 - 3,139,497 = 15,500円 となります。
カードローン型教育ローンの場合は随時カードを使って繰り上げ返済ができる為、資金に余裕ができる都度入金する事によって少しでも総支払金額を下げる効果があります。
まとめ
一括借入型の民間教育ローンや国の教育ローンでも、カードローン型教育ローンでも繰り上げ返済は可能です。注意点としては、一括借入型の教育ローンの場合は追加融資ができないため(最初から再度審査しなおさなければならないため)途中で教育資金が不足しないように最初は多目に借入をしておくことが重要です。
一方、カードローン型教育ローンの場合は限度額の範囲内であれば何度でも借入ができるため、小まめに繰り上げ返済を行うのがおすすめです。利用した分にしか利息が発生しない為、少しでも利息の支払いを減らしたい方におすすめです。
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