教育ローンをはじめて利用しようと思った時に気になる点はいくつかあります。その中には審査に関する疑問や利用した際の返済方法等いろいろな点があると思います。今回は教育ローンを実際に利用した際に返済方法や毎月の返済額などがどのように決まるのかについて解説したいと思います。
昨今、教育ローンは様々な種類の教育ローンが増えてきました。自動車ローンや住宅ローンのように借りてからすぐに返済をはじめるタイプの通常の教育ローン以外に、据置返済を利用した教育ローンや、在学期間中にカードを使って何回でも借りる事ができるカードローン型教育ローンなど選べる種類は豊富です。
それぞれの教育ローンを利用した場合の返済方法など、具体的な不明点を一つずつ解消していきましょう!
目次
教育ローンの返済日はどうやって決められるの?

まず一番簡単な質問としてあげられるのが教育ローンの返済日です。返済日は毎月何日になるのでしょうか?「給料日前に設定されると毎月のやりくりが厳しい」といった意見が多いと思いますので金融機関によってどのように決められるのか違いはありますが解説していきたいと思います。
毎月の返済日は基本的に自由に決められるパターンが多い
銀行等の金融機関から教育ローンを借りた場合、基本的に自由に返済日を設定できるケースが多いのが実情です。多くの金融機関で使っているシステム上、返済日の設定は自由にできるようになっています。金融機関の職員はお客様と相談して返済日を給料日や給料日後の任意の日付に設定するケースが多いようです。
ただし、あまり分りにくい日付を返済日に設定してしまうと、返済を忘れてしまい延滞の発生につながるリスクが金融機関にはあります。そのため基本的に給料が入った後の20日や25日等といったわかりやすい日付を設定するケースが多いでしょう。給料日が月末の場合は翌月1日や5日に設定するケースもあります。
返済日が決まっている金融機関もある
上記で、ほとんどの金融機関は返済日を任意に設定できると説明しましたが中には返済日が決まっている金融機関もあります。特殊な例で言うと職域信用組合や労働金庫の一部等は返済日が決まっています。これは職場によって給料日が決まっているため、その職場の給料日に合わせた返済日が予め決まっているケースです。
中には返済金を給料天引きする事が決まっている会社も存在します。その場合も返済日は一定の日付となっています。給料日当日が返済日に設定されている会社もあれば、万が一給料日が遅れる事を想定して給料日の3日後や5日後が自動的に返済日に設定される契約も存在します。
ただしこれらのケースはほとんど大手企業などの給与処理が大規模な会社がほとんどとなっているため、それ以外の中小企業や個人事業主等はあまり関係ないケースといえます。
カードローン型教育ローンは返済日が決まっているケースが多い
最近主流となってきているカードローン型教育ローンについては返済日が最初から決まっているケースが多くあります。通常の教育ローンでは任意に返済日を決める事ができる金融機関であってもカードローン型教育ローンだけは返済日が一律で決まっている事が多いので契約する際は注意が必要です。
ほとんどのカードローン型教育ローンの申込案内には事前に返済日が載っているケースが多いので、あらかじめホームページや店頭チラシをチェックして返済日を確認しておきましょう。
ボーナス返済有の場合の返済日はどうなるのか?
返済日に毎月の返済日だけではなくボーナスの返済日も設定する事ができます。ボーナス返済有りにした場合は、基本的に毎月の返済日と同じ日にボーナス分も合わせた金額が引き落としされます。ボーナスの支給は会社によって支給日が異なってくる為任意の月を選ぶことができます。
例えば夏のボーナスが6月10日、冬のボーナスが12月10日であればボーナス返済日は6月、12月ということになります。返済日が毎月25日であれば6月25日、12月25日に毎月の返済金額とボーナスの返済金額を合わせた金額が引き落とされます。
夏のボーナスの支給が7月、冬のボーナスが12月という変則的な支給月のケースもあります。こういったケースではボーナス返済は7月、1月等と設定されるケースになるでしょう。毎月の返済日との関係もありますがボーナス支給後の返済日に合わせてボーナス返済の日付は設定されます。
通常の教育ローンを利用した場合の返済方法について

通常の教育ローンを利用した場合の返済金額
教育ローンと言っても特に特別な設定をしなければ自動車ローンや住宅ローンのように借りた次の月から毎月の返済が始まるのが通常の教育ローンです。こういった借り方をするメリットは「なるべく早く元金を減らしていきたい」「無駄な利息を払いたくない」といった人に需要があります。
教育ローンの返済金額の計算方法はすこし難しい計算式が必要になってきますが、いくら借りて、何年で返済して、金利が何%かがわかればインターネット上にある返済シミュレーションを利用すれば計算する事が出来ます。
基本的には返済期間が長ければ長い程毎月の返済金額が少なくなります。その代わり元金と利息を合わせた総返済額は大きくなってしまいます。なるべく総返済額を少なくするためには返済期間を短く設定した方が良いでしょう。
銀行の返済シミュレーションを使って実際の返済金額を調べてみよう
まずは民間金融機関の返済シミュレーションをりようして実際に毎月の金額がいくらになるのか計算してみましょう。今回は下記の三井住友銀行の返済シミュレーションを利用して計算してみます。
借入金額100万円、返済期間5年の場合の返済金額(金利2.0%、3.0%、4.0%の場合)
金利 | 毎月の返済金額 | 総返済額 |
2.00% | 17,527円 | 1,051,636円 |
3.00% | 17,968円 | 1,078,090円 |
4.00% | 18,416円 | 1,104,960円 |
上記の表のように金利1.00%高くなるにしたがって、毎月の返済金額が約500円くらい高くなってくるのがわかります。金利が高くなるとその分毎月の返済金額が高くなり結果として総返済額が高くなります。5年返済では100万円借りた場合なので端数の金額が利息として支払う金額となります。
2.00%の場合は51,636円が支払利息、3.00%の場合は78,090円、4.00%の場合は104,960円となります。したがって2.00%の場合は利息の金額が約5万円ですが、金利が4.00%と倍になる事によって支払わなければならない利息の金額も大体倍の金額になってしまいます。
なるべく支払う金額を抑えて契約したい人にとっては金利は大きな比較部分となる事になります。複数の金融機関で教育ローンの金利を調べてなるべく低い金利の金融機関を選ぶことが総返済額を抑えるコツとなるでしょう。
次に同じ金利の場合でも返済期間が違った場合の総返済額がどう変化するかを計算してみます。金利が同じ場合はなるべく返済期間が短くした方が支払う利息が少なくて済みます。
借入金額100万円、金利3.00%(返済期間が5年、7年、10年の場合)
返済期間 | 毎月の返済金額 | 総返済額 |
5年 | 17,968円 | 1,078,090円 |
7年 | 13,213円 | 1,109,872円 |
10年 | 9,656円 | 1,158,655円 |
上記の表のように返済期間が5年、7年、10年と長くなるにつれて毎月の返済金額も少なくなっていきます。なるべく月々の支払を抑えたい人にとっては返済期間を長く設定する事をおすすめしますが、返済期間が長くなればなるほど総返済額が大きくなってしまいます。
支払利息でみると返済期間が5年の場合は78,090円、7年の場合は109,872円、10年の場合は158,655円となりこちらのケースでも5年に比べて返済期間10年は利息が倍近くまで上がってしまうことになります。
なるべく総返済額を抑えたい人にとってはやはり返済期間は短く設定することが必要です。ただしあまり返済期間を短く設定しすぎると毎月の返済金額が上がってしまい家計のやり繰りが大変になってしまうケースもあります。他の借入関係や自分のライフプラン、生活費等とよく相談しながら返済計画を練る事がとても重要になってきます。
据置返済を利用した場合の教育ローンについて

元金据置返済とは?
元金据置返済という制度を利用した教育ローンをご存知でしょうか?これは教育ローンを借りた後、通常であれば自動車ローンや住宅ローンのように支払いが始まりますが、教育ローンの場合は在学期間中を利息の支払いのみにして卒業後から元金の返済を始めるという制度になります。
メリットとすれば在学期間中は利息の支払いしかしなくて済むので家計への負担が少なくて済むという事です。在学期間中は多くの費用がかかります。特に自宅外通学であればアパート代や生活費などもかかりますし、帰省するにもお金が必要となります。そういった費用に家計の支出を回すためにも元金据置返済を利用して在学期間中はなるべく出費を抑える事ができるのが一番のメリットです。
ただし元金据置返済にはデメリットも存在します。在学期間中は利息の支払いしかしませんので、元金(借りたお金)が減る事はありません。そのため卒業までは減らない元金分の余計な利息を支払わなければならなくなってしまいます。結果として自動車ローンや住宅ローンのように借りてからすぐ返し始める通常の教育ローンよりも多くの利息を支払わなければなりません。
とはいっても元金据置返済は在学期間中の毎月の支払をかなり抑える事ができる制度ですので、もし利用を考えているのであればそういった制度がある教育ローンかどうかを事前に調べておくことが重要と言えます。
借入金額100万円、金利3.00%、元金据置返済有りと無しの場合
返済期間 | 据置間中の支払 | 毎月の返済 | 総返済額 |
5年(据置なし) | なし | 17,968円 | 1,078,090円 |
9年(うち据置4年) | 2,500円 | 17,968円 | 1,198,090円 |
上記の表は元金据置返済を利用しない通常の教育ローンと、元金据置返済を利用した場合の差額を計算した物になります。据置期間中の毎月の支払金額は下記の計算式で求める事が出来ます。
借入金額 × 金利 ÷ 12カ月 = 毎月の支払利息
100万円 × 3.00 ÷ 12 = 2.500円
上記の計算式を利用して毎月の据置期間中の支払金額は2,500円と計算する事が出来ます。これは大学生のケースで4年間を利息のみの支払とした場合の試算になります。4年間の在学期間中は毎月2,500円のみの支払で済み、卒業後は通常の教育ローンと同じように毎月17,968円の支払いが始まることになります。結果として総返済額からもわかるように通常の教育ローンは支払利息が78,090円なのに比べて、据置返済を利用した場合は198,090円を支払わなければならない事になります。
これは在学中の利息のみの支払いが120,000円あることからその分が差額として大きくなる事によります。前述したように在学期間中は2,500円のみの支払であることがメリットではありますが、卒業後に支払いを開始する為に総返済額の観点からすればかなりの利息払いが必要になってしまうのがデメリットといえます。
カードローン型教育ローンを利用した場合の返済金額について

カードローン型教育ローンとは
カードローン型教育ローンは他に当座貸越型教育ローン等とも呼ばれる事があります。このタイプの教育ローンは最近になって増えてきているタイプの教育ローンとなります。通常の教育ローンを一括借入型と分類します。一括借入型の教育ローンの場合は、審査に通れば最初に申し込んだ金額を全額融資してもらう事が出来ます。
金融機関によっても異なりますが、一括借入型の教育ローンに申し込んだ場合は1年分だったり、4年分だったりといった教育資金をまとめて借りる事ができます。ただし一気に借入する為に当分使う予定の無い金額も口座に入る事になります。そのため使うのが1年先や2年先になる教育資金の分まで利息を常に払わなければならないデメリットがあります。
カードローン型教育ローンの場合は、最初の審査の段階で4年制大学であれば4年間に必要な教育資金を元に借り入れ可能な金額の枠を設定します。そしてその枠内において4年間必要な時期に必要な分だけ借りる事ができる教育ローンになります。
メリットとすれば必要な分ずつ借りる事によって利息をなるべく抑える事ができる点です。また、1年ごとに申込して借りる教育ローンに比べれば、4年分の借入金額の枠を最初に設定する為に、最初の手続きのみで残りの期間の教育ローンの手続きを省略できるといった利便性もあります。
それでは実際にカードローン型教育ローンを利用した場合の返済のケースをみてみましょう。
限度額100万円、在学期間2年で契約した場合のカードローン型教育ローンの場合(金利3.00%)
卒業後5年間で返済
1年目の借入金額 | 1年目の支払利息 | 2年目の借入金額 | 2年目の支払利息 | 卒業後の支払金額 |
50万円 | 1,250円 | 30万円 | 2,000円 | 14,374円 |
上記の表では2年生の専門学校に通った場合の教育ローンの利用方法を一例としてあげてみました。100万円の限度額でカードローン型教育ローンを契約し、1年目は50万円の借入をしました。その場合、1年目は毎月1,250円の利息の支払いがあります。
2年目に進学時には当初の計画より自己資金が貯まっていたため30万円の借入をしました。1年目の50万円と合わせて合計で80万円借りた事になります。2年目の支払利息は毎月2,000円となります。カードローン型教育ローンのメリットとして、当初限度額以内であればそれに満たない金額でも大丈夫な点です。余計な借入はなるべくしたくないといった人からすれば、限度額だけ設定しても利用しなければその分の利息は支払わなくて済みます。
結果として上記のケースでは100万円の限度額に対して80万円しか借りずに済むことになりました。卒業後は通常の教育ローンと同じように支払いが開始されます。上記の契約では卒業後5年間での返済としていましたので毎月14,374円の支払いが卒業後から5年間開始される事になります。
万が一100万円全額借入をしていた場合はこの金額が17,968円となります。金利が同じであれば通常の教育ローンで5年返済で100万円借りていた時と同じ金額での支払いとなります。
カードローン型教育ローンのメリットは利用した分だけの利息しか発生しない為に支払利息を抑える事ができる点と、節約する事によって全額借りなくてもいい点が上げられます。
まとめ
通常の教育ローン(一括借入型)、据置返済付の教育ローン、カードローン型教育ローンと種類が豊富な教育ローンですが、それぞれのメリットやデメリットをよく理解し、自分に合った教育ローンを選ぶことが重要です。
在学期間中の支払いをどうするかや、1年分だけ借りるのか、4年分を一気に借りたいのかなど、それぞれのニーズに合った制度の教育ローンを選んで契約する事をおすすめします。
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