低金利の教育ローンの選び方と注意点。どうすれば低金利で教育ローンが借りられるのか?


教育ローンと一口に言っても様々な金利設定があります。銀行や信用金庫など金融機関による金利の違いや、国民生活金融公庫の「国の教育ローン」、そして銀行の教育ローンの中でもさらに金利が細分化されているケースが存在します。

教育ローンを利用しようとしている人であれば「なるべく安く借りたい」と考えるのは当然のことです。今回は金利の種類と、低金利教育ローンの選び方について解説します。

金利の種類とは?「固定金利」「変動金利」「段階金利」

固定金利とは

金融機関の教育ローンでは、商品ごとに金利の種類が設定されています。例えばチラシを見ると「教育ローン2.0%」と書いてあったりしますが、全ての教育ローンが、その金利が適用になるかと言うとそうではありません。

固定金利は、短い期間での借入であれば安い金利が設定され、長い期間の固定金利は高く設定されているのが一般的です。
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なぜ長い期間の教育ローンの方が金利が高いのでしょうか?

銀行にとって長期で借りてくれるお客様は優良顧客ですし、教育ローンよりも期間の長い住宅ローンに至っては1.0%台の金利も設定されています。

教育ローンに限らず、長期の借入商品の方が金利が高い理由は、金融機関側にあります。金融機関(銀行や信用金庫など)は常に金利の変動リスクを抱えています。

金利の変動リスクとは

銀行がお客様から預かる金利と、教育ローン等に貸し出す金利は常に一定の金利ではありません。その時々の市場の相場によって、高かったり低かったりと「常に変動」しています。

2018年現在、マイナス金利政策等によって金利はとても低く抑えられていますが、いつそれが転換点を迎えて高金利政策に変わるか予測ができません。

そのため長期で貸す場合は、万が一金利が途中で上がってきても金融機関が赤字にならないように、なるべく金利が高く設定されています。

この金利の変動リスクがあるため、長期になればなるほど金利が高く設定されているということです。

一般的に金融機関のチラシに書いてある金利は、最短融資期間の安い金利か、変動金利の金利が書いてある場合が多いので注意が必要です。

変動金利とは

変動金利とは、「半年ごとに金利の見直し」があるタイプの金利設定になります。

金融機関は金利の変動リスクに対処するために、変動金利タイプの教育ローンも取り扱っているところがほとんどです。

変動金利タイプの良いところは、現在のマイナス金利政策のように市場金利が低い環境であれば固定金利に比べて、とても「低い金利に設定」されている点です。

ただし、金利が上昇局面になれば当然半年ごとの見直しで金利が上がってくる為、返済金にも影響が出てきます。

変動金利を選ぶ際には、現在の金利の他にも将来金利の動向がどうなってくるのかを、自分で予測して選ぶ必要があります。

現在の経済状況で考えるならば、急激な金利の上昇は経済の混乱を招きかねないため、数年での金利の上昇の可能性はかなり低いと考えられます。

バブル期のように、年利が5%から10%のような高金利になる可能性は極めて低いと言えますが、あくまで変動金利を選ぶのは申込する方本人の意思に委ねられます。

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金融機関で教育ローンを申し込む際に、「変動金利と固定金利のどちらがいいですか?」といった質問がよくありますが、前述したとおり金利の変動リスクについて説明された上で、お客様の方で選んでくださいと促されるだけですので、申し込みする際には、事前にどちらを利用するか大まかな考えを持っていた方がいいでしょう。

段階金利とは

今現在段階金利を扱っている教育ローンはほとんどありませんが、段階金利とは金利が2段階に分かれている商品の事を言います。

教育ローンで段階金利が設定されている例としては、例えば4年生大学の場合、4年間の在学期間中は利息のみの据置返済をして、残りの10年間で元金の返済をする計画だった場合、据え置き期間の4年間の金利は1.0%、元金の返済期間10年間の金利は3.0%等といったように期間によって金利に違いがある商品の事を言います。

教育ローンの種類「一括借入型」「カードローン型」

一括借入型教育ローンとは

昔からある教育ローンの形式で、「国の教育ローン」もこの一括借入型に当てはまります。一括借入型とは、教育ローンの申し込みの際に必要金額を申し込んで、その金額が一括で振り込まれるタイプの教育ローンの事を言います。

例えば「今年は100万円で足りるけど、来年の授業料も考えると今のうちに200万円借りておきたい」といった場合に200万円の申し込みをして、一括で200万円の融資を受ける教育ローンの事です。

注意が必要なのが、「国の教育ローン」の場合は「1年間に必要な教育資金」しか借りる事が出来ないため、上記のように来年分も今のうちに借りておきたいといった事が出来ない点です。

民間の金融機関にも各種取り決めがありますが、ほとんどの民間銀行では複数年分を一括して借り入れる事はできるようになっています。

「国の教育ローン」のように1年毎にしか借入できない場合や、複数年分借りると大金になってしまう為不安だといった理由から、一括借入型教育ローンを毎年借りるといった方法があります。この場合、途中で審査が通らなくなってしまうリスクが存在します。

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「最初は100万円の申し込みだから審査が通ったけど、大学4年目には教育ローンの総額が500万円まで膨らんでしまってしまい、最後年に審査が通らなかった。」

といったケースも現実に存在します。また、

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「教育ローンの借入限度額に注意しておかなかったので、教育ローン自体が300万円までしか借入する事ができなかった事に、後から気づいて困ってしまいました。」

なんてケースも存在します。そのような毎年の審査の不安や、必要総額が借入する事ができるかといった不安の声に応えるために最近多くなってきた商品が「カードローン型教育ローン」です。

カードローン型教育ローンとは

カードローンと聞くと、金利が高い、消費者金融のローンといった悪いイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。

「カードローン型教育ローン」は決して高金利ではなく、銀行等の金融機関がお客様の利便性を考えて考案された最近主流の教育ローンの一つです。

通常、「一括借入型」の教育ローンの場合はは1年ごとに借入をするとその都度審査が必要で会ったり、申込のために来店する必要があったりと不便な面がありました。

また、最初の申し込み時に4年制大学の場合、4年分を一括して借入すると、その分在学中の金利の負担が大きくなってしまうと言うデメリットがあり、1年ごとに借りるにも、4年分をまとめて借りるにもどちらにしてもデメリットが発生してしまいます。

それらの両方のデメリットを解消した商品が「カードローン型教育ローン」です。金融機関によっては「随時貸越型教育ローン」「当座貸越型教育ローン」等と呼び方が一部異なっている場合もあります。

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これらの商品は、最初の審査時に4年制大学の場合であれば4年分の限度額を設定します。その後は授業料の支払や下宿や家賃の支払い、教科書代などの資金が必要な都度、限度額の範囲内で借りて使う事が出来るのが特徴です。

それによって4年分の一括で借りた場合に比べて利息の負担が少なくて済む事と、毎年審査や申し込みに来店する手間が無くなる事から、今各金融機関で多く取り扱いを開始いしている商品となります。

現在の教育ローンの金利の相場を把握しよう

表1.(2018年7月調べ)

金融機関種類金利方式期間限度額金利
みずほ銀行一括借入型変動金利10年以内300万円3.48%
みずほ銀行一括借入型固定金利10年以内300万円4.30%
三菱UFJ銀行一括借入型変動金利10年以内500万円3.98%
横浜銀行一括借入型変動金利10年以内500万円2.80%
横浜銀行カードローン型変動金利17年以内※11,000万円2.80%
千葉銀行カードローン型変動金利16年6カ月※21,000万円2.40%
京都中央信金一括借入型変動金利16年以内1,000万円2.50%
中央労働金庫一括借入型固定金利10年以内2,000万円2.4%~3.4%※3
中央労働金庫一括借入型固定金利10年以上15年以内2,000万円2.9%~3.9%※3
中央労働金庫一括借入型変動金利15年以内2,000万円2.2%~2.4%※4
中央労働金庫カードローン型変動金利20年以内1,000万円2.9%~3.18%※4

※1:横浜銀行カードローン型教育ローンの借入期間の最長17年は在学期間7年、元金返済期間10年で計算した場合になります。在学期間が4年間の場合は最長14年になります。

※2:千葉銀行カードローン型教育ローンの借入期間の最長16年6カ月は在学期間6年6カ月、元金返済期間10年間で掲載した場合になります。在学期間が4年間の場合は最長14年になります。

※3:中央労働金庫の金利設定は団体会員、生協会員、一般の勤労者の3つに分かれて金利が設定されています。自分がどの金利区分に当てはまるかはお近くの中央労働金庫までお問い合わせをお願いします。

※4:中央労働金庫の変動金利型教育ローン(カードローン型も含む)は団体会員、生協会員の方のみのお取扱いとなります。

金融機関ごとの金利や融資限度額の違い

6種類の金融機関ごとの教育ローンの金利や限度額、返済期間について表にまとめてみました。

表の示す通り、都市銀行の場合は限度額が低く、金利が高い水準になっています。これは都市銀行は元々大口の企業相手の融資が本業であるため、小口の個人融資にそれほど力を入れていない為と考えられます。

一方で、地方銀行や労働金庫などは個人融資に力を入れているため、金利や限度額が都市銀行と比べると優遇されているのがわかります。大きな銀行だからと言って、「金利が安いとは限らない」点に注意が必要です。

特に、個人融資専門の金融機関である「労働金庫」は全国にありますが、企業向け融資が法律上禁止されているため個人融資に力を入れているのがわかります。

中でも限度額が、「2,000万円」と住宅ローン並みに高額な上限設定がされているのが魅力です。万が一、子供のが2~3人大学に進学が必要になった場合、500万円や1,000万円では足りない可能性があるからです。

ただし、「労働金庫」の場合、融資を受ける際に注意が必要なのが自分が、

  1. 団体会員
  2. 生協会員
  3. 一般の勤労者

どれに該当するのかによって金利が違ってくる点に気を付けなければなりません。

「労働金庫」はその歴史上元々「労働組合」が集まってつくった金融機関であることから、大企業のように労働組合があり、そこに所属している場合は団体会員扱いの最優遇金利が適用されるケースが多いようです。

もし申込や興味を持って相談したい場合は、事前に自分がどういった取扱いになるのか確認する必要があるでしょう。

2018年現在で金利が安いのは「変動金利」

上記の金融機関ごとの表をご覧になるとわかる通り、金利設定において固定金利よりも「変動金利の方が低く設定」されています。

また、金融機関によっては現在固定金利の商品を扱っておらず、変動金利のみの商品設定が見受けられます。

低金利政策がいつまで続くのか見通しが立たない現在、金融機関としても固定金利でリスクをとりたくないといった事の現れですが、逆に考えれば今が低金利での教育ローンの借り時ということです。

無担保ローンは10年前であれば、3%を超える時代が当たり前でした。特に教育ローンのように長期のローンに至っては4%以上の金利設定も普通でした。

今では、長期かつ限度額が大きい商品であっても「2%台で借りる」事ができます。

金利を払う事やローンを借りる事に抵抗がある方も、実際に低金利政策の恩恵を受けられる今、教育ローンを申し込む事について再度検討してみてはいかがでしょうか。

国の教育ローンについて解説

さて、これまで民間金融機関の教育ローンについて解説いしてきましたが、教育ローンにはもう一つ日本政策金融公庫で取り扱っている「国の教育ローン」というものがあります。

国の教育ローンはインターネットや日本政策金融公庫の各支店で受け付けられるほか、民間金融機関のほとんどの窓口でも取り扱っています。

取り扱いを行っている金融機関には「国の教育ローンのポスター」が貼ってありますので、気になった方は注意して店内を見てみましょう。

国の教育ローンのメリットは、「固定金利でありながら圧倒的な金利の低さ」にあります。以下は国の教育ローンの詳細になります。

金融機関種類金利方式期間限度額金利
日本政策金融公庫一括借入型固定金利15年以内350万円1.76%

国の教育ローンは固定金利でありながら「1.76%」と上記民間金融機関の金利と比べても、圧倒的に低い金利に設定されています。

しかし国の教育ローンの一括借入方式には注意が必要な点があります。それは、「1年毎の必要資金しか借入が出来ない」事です。

限度額が最大350万円とありますが、1年間に必要な授業料や家賃などがそれ以下だった場合は、その金額しか借入する事ができません。

2年目以降の授業料が必要な場合は、再度申し込みをして融資をしてもらう必要があるのです。一括借入型のデメリットである、「毎年都度審査と申し込みが必要」ということに注意してください。

また、国の教育ローンは民間金融機関のセーフティーネット的な役割であるため、収入が多すぎる人には借りれない点にも注意が必要です。

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金利が安いから国の教育ローンを借りようと考えていたけど、所得制限で借りる事ができなかったという事にならないように下記の表に照らし合わせて自分が該当しないか気を付けましょう。
子供の人数世帯収入(所得※5)の上限
1人790万円(590万円)
2人890万円(680万円)
3人990万円(770万円)
4人1,090万円(870万円)
5人1,190万円(970万円)

※5:世帯所得とは事業所得者の場合の上限です。

上記の表のように、「世帯年収に上限が設定」してあることに注意が必要です。

例えば、子供が1人で夫の収入が500万円、妻の収入が400万円だった場合は世帯収入が900万円となるため国の教育ローンに申し込むことができません。

国の教育ローンはあくまで低所得者のための福祉的教育ローンの側面が強く、収入に下限が無いのも特徴の一つです。

一般的な金融機関の教育ローンであれば、収入の下限が設定されています(多くの場合は150万円~200万円程度)
国の教育ローンにはそれが設定されていないため、収入が少ないからと言って申し込みを諦める必要がありません。

金利とは別の保証料と実際の支払総額に注意

これまで金利について説明してきましたが、金利以外に保証料が別途かかる場合があることに注意が必要です。

金利が安くても保証料を上乗せした結果トータルの支払総額が大きくなってしまったという事がないように事前に総支払額を計算してみましょう。

例1

  • 千葉銀行:金利2.4%
  • 借入金額:300万円
  • 返済期間:10年

で計算した場合、

総支払額:3,449,280円

参考先:「千葉銀行」返済シミュレーション
http://www.chibabank.co.jp/kojin/loan/education/simShinki/

例2

  • 国の教育ローン:金利1.76%
  • 借入金額:300万円
  • 返済期間:10年(保証料有)
  • 総支払額:3,271,600円
  • 保証料:107,955円

で計算した場合、

保証料とトータルの支払総額:3,379,555円

参考先:「国の教育ローン」返済シミュレーション
https://www.jfc.go.jp/n/finance/ippan/sim.html

上記のように、保証料も含めて計算すると10年間の総支払額の差は69,725円しかなくなってしまいます。

一見すると国の教育ローンの方が圧倒的に金利が安いように見えますが、保証料込の金利設定の銀行の場合、それほどまで差が無い場合がほとんどです。

また、カードローン型教育ローンのように都度申し込みが必要なデメリットを考えれば、国の教育ローンよりも民間金融機関の教育ローンを選ぶメリットも大きいかもしれません。

尚、国の教育ローンには保証料がありますが、連帯保証人(別生計の収入のある方)をつける事によって「保証料が無料」になります。

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もし親戚や兄弟などの別生計の人が連帯保証人に頼めるのであれば、総支払額は国の教育ローンの方が圧倒的に安くなるかもしれませんね。

まとめ

金利で考えた場合、固定金利という事と連帯保証人がいれば保証料が無料な事を考えると圧倒的に「国の教育ローン」が有利となります。

しかし、保証人を頼む人がいない場合や、毎年申し込みをするのが面倒だという人の場合は民間金融機関の「カードローン型教育ローン」を申込むのも一つの手段です。

その際は、

  • 保証料が金利に含まれているのか
  • 金利とは別に保証料がかかるのか

をよく聞いてから申し込むように注意しましょう。

また、卒業までの資金計画を考えて、限度額が500万円で足りるのか、1,000万円で足りるのかについてもよく検討してから申し込むようにしてください。

途中で授業料が足りなくなってしまっては、せっかく今まで払った教育資金の意味がなくなってしまいます。

お子様の進学先にある程度の目途がついたら、まずは早めに金融機関に相談にって、近くの金融機関ではどのような教育ローンを取り扱っているのか、金利や限度額はいくらなのかといった事を聞きながら早目に申し込みをして余裕を持ったライフプランを検討しましょう。

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