教育ローンの返済額はいくらになる?気になる教育ローンの返済額をシミュレーションしながら解説


銀行などで教育ローンを借りる場合、一番気になる点は月々の返済額になります。

よく相談で上げられるのが、住宅ローンや自動車ローン等を組んでいる場合、あまり月々の返済に教育ローンを充てられないといった相談があります。

月々いくらの返済金で限度額いくらまで借りる事ができるのかわかれば、教育ローンの借入の目途も立てやすくなります。

今回は国の教育ローンや民間金融機関の教育ローンを使った場合の、返済金や借入限度額について「返済シミュレーション」を活用しながら計算していきたいと思います。

国の教育ローンを借りた場合の毎月の返済金について

国の教育ローンは、限度額が350万円と決まっています。そのため返済計画を立てる際に、限度額いっぱいまで借りた際の、月々の返済金を計算してみたいと思います。

また国の教育ローンに限らず、民間金融機関の教育ローンにおいても、在学期間中は利息払いのみ卒業後から元利金を返済する据置返済も利用する事が出来ます。

ただし、国の教育ローンで据置返済を利用した場合は、通常の15年返済から据置分を引いた年数で返済しなければならないため、返済金額が通常の15年返済よりも大きくなってしまう点に注意しなければなりません。

国の教育ローンは、2018年8月現在、1.76%といった比較的低い金利になっています。連帯保証人がいる場合は保証料が不要となるため、単純に金利のみの返済と考えていいでしょう。

今回は連帯保証人がいなかった場合にかかる保証料についても、表に記載しましたので、参考にしていただければと思います。

限度額350万円を借りたケース

表1.350万円借りた場合の返済金額

返済期間毎月の返済額総返済額保証料
15年22,300円3,982,100円188,968円
10年32,100円3,816,900円125,947円
5年62,000円3,656,200円63,637円

保証料は、借入時に借入金額から控除される事となっています。

350万円を15年返済で借入した場合は、実際には保証料が控除された「3,311,032円」が振込されるという事になりますので注意が必要です。

上記の表にて限度額いっぱいでの計算をしましたが、実際には国の教育ローンは、1年間で必要な学費やアパート代、寮費、その他教科書代等しか利用する事ができません。

ですので実際の借入において、一括で350万円を借りるケースは少ないと思われます。現実的には学費やその他費用を含めて、100万円~多くても200万円程度になるケースがほとんどです。

これらを借入する際には、必要書類としてアパートの賃貸契約書や、授業料やその他教科書代等の諸費用がわかるパンフレット等が必要となるため、ごまかして多く借りる事は不可能となっています。

実態に即して、150万円を借りる場合のケースで計算したものが下記の表の通りとなります。

1年間に必要な学費等150万円を借りたケース

表2.150万円借りた場合の返済金額

返済期間毎月の返済額総返済額保証料
15年9,600円1,706,600円80,986円
10年13,800円1,635,800円53,977円
5年26,600円1,567,000円27,273円
国の教育ローンの場合、長期で返済を組むことができる為、月々の返済金額を1万円以内に抑える事も可能となっています。

据置返済を利用したケース

据置返済とは在学期間中は利息のみの支払いをし、家計の負担を減らす事によりメリットのある返済方法の一つです。

ただし据置返済した期間は返済期間の上限から引かれる為、15年返済の予定で4年間据置返済を使うと実質11年で元金(借りた分の金額)の返済を行わなければなりません。

そのため通常の15年返済よりも、月々の返済金額が増えてしまうと同時に、保証料の金額も通常の際に比べて上がる事となります。

表3.150万円借りた場合の返済金額(4年間の据置返済ありの場合)

返済期間据置期間据置期間の利息支払額4年後の毎月返済金額総返済額保証料
11年4年2,200円12,600円1,756,600円113,380円
10年4年2,200円13,700円1,742,600円105,785円
5年4年2,200円26,200円1,673,700円68,056円

上記のように据置返済を利用した場合は、総返済額が通常返済よりも大きくなってしまうと言うデメリットと、保証料が通常の返済よりも高くなるデメリットがあります。

しかし、在学期間中は学費等の他にも予期せぬ出費等は多くあるものですので、在学期間中は月々2,200円のみの支払だけで大丈夫、と言うのは大きなメリットとなります。

これらのメリットとデメリットを比較したうえで、どちらが家計にやさしいか、自分の家庭のライフプラン等をよく検討したうえで申し込む必要があるといえます。

国の教育ローンの金利減免適用について

国の教育ローンでは、幅広い世帯年収の方の申込にも対応しており、民間金融機関ではなかなか審査の通りづらい世帯年収200万円以下の家庭でも申し込みの受け付けております。

また、そういった世帯年収が200万円以下の世帯や、母子家庭や父子家庭については金利の減免措置も設けられております。

減免金利は0.4%となっていますので、2018年8月現在の金利に照らし合わせると1.36%で借入する事ができます。

参考までに、減免措置を利用した場合の返済金額についても下表にて記載します。

表4.金利減免適用した場合の毎月の返済額

返済期間毎月の返済額総返済額保証料
15年9,300円1,658,100円80,986円
10年13,500円1,604,300円53,977円
5年26,300円1,551,600円27,273円

通常の返済金額より若干ではありますが、毎月の返済金額が少なくなります。

国の教育ローンの場合は、元々の金利設定が低水準であるため、減免によって大幅に返済金額が少なくなることは無いのですが、15年返済の場合は総返済額が約5万円程安くなる計算となります。

上記の月々の返済金や保証料の計算は複雑な計算式が必要なため、国の教育ローンを取り扱っている「日本政策金融公庫」のホームページにある、返済シミュレーションを活用して、自分に合った返済計画を検討してみてはいかがでしょうか。

下記は、日本政策金融公庫のリンクとなりますので是非ご活用ください。

参考:日本政策金融公庫「国の教育ローン返済シミュレーション」

民間の金融機関で借りた場合の毎月の返済金について

民間の金融機関にも多くの教育ローンがあります。

特徴としては、取り扱っている金融機関によって金利や返済期間、借入限度額が大きく異なっている事です。特徴点として、大手メガバンク程、金利が高く借入限度額も低い傾向にあります。

逆に地方銀行や信用金庫、労働金庫等は金利が低く、借入限度額も国の教育ローンの350万円よりも大幅に大きく、金融機関によっては教育ローンの限度額が2,000万円まで設定してある所も存在します。

民間金融機関の教育ローンを選ぶメリットは、まさにそこにあります。

国の教育ローンの場合、学費やアパート代等の諸費用を全て教育ローンで賄おうとすると、どうしても350万円では足りなくなってしまう場合が多いのが現状です。

民間金融機関の場合では限度額が大きい為、アパート代や仕送り等も含めて全て教育ローンを使って賄えるケースがほとんどです。

民間金融機関教育ローンの金利は何%か

地方銀行や信用金庫、労働金庫等の場合は大体1.5%から3%程度に設定されている場合が多いようです。

一方大手メガバンクの金利設定は、高めの水準に設定されていて、三菱UFJ銀行では変動金利で3.975%、みずほ銀行でも変動金利で3.475%、固定金利では4.3%といったように、比較的高めに設定されているケースが多いようです。

これは元々大手銀行は小口の顧客を相手に商売していなかったため、どうしても借りたいお客様には高めの金利で商品を販売するようになってしまっているためと考えられます。

地方銀行や信用金庫は、中小企業などへの融資がなかなか伸び悩んでいるために、小口の顧客への融資(住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなど)に力を入れているため、金利も低く設定されていると考えられます。

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ですので、もし民間金融機関で教育ローンの借入を検討している場合は、お近くの地方銀行や信用金庫もよくチェックして金利を確認した方がいいでしょう。

銀行で借りた場合と国の教育ローンで借りた場合の返済金の比較

国の教育ローンで毎月の返済金を計算しましたが、

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「銀行等の民間金融機関で借りた場合は、同じ返済期間でどのくらい金額が違ってくるのか?」

返済金を計算して比較したいと思います。まずは借入金額150万円で借りた場合のケースで表を作成します。

銀行の金利は何パターンか用意し、2.5%と4.0%で計算した場合で比較します。

1.2.5%で教育ローンを150万円借りた場合

表5.国の教育ローンと銀行の教育ローンの返済金額の比較
返済期間毎月の返済額総返済額
15年10,001円1,800,180円
10年14,140円1,696,800円
5年26,621円1,597,260円

国の教育ローンで借りた場合の総返済額は、

  • 15年:1,658,100円
  • 10年:1,604,300円
  • 5年:1,551,600円

上記と比較すると、5年返済であれば金利の差が、1.76%と2.50%であっても約5万円程度しか違いが無いことがわかります。

ただし、返済期間が長くなると総返済額の差額はどんどん大きくなり、10年返済で約9万円、15年返済にすると約15万円近くの差額が発生してきます。
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銀行の教育ローンは保証料込なので、国の教育ローンで計算した保証料等も考慮してどちらを選んだ方がいいか検討する必要があります。

次に、メガバンク等の金利をつかった4.0%での比較をします。

2.4.0%で教育ローンを150万円借りた場合

表6.国の教育ローンと銀行の教育ローンの返済金額の比較
返済期間毎月の返済額総返済額
15年11,095円1,997,100円
10年15,186円1,822,320円
5年27,624円1,657,440円

教育ローンを4.0%で借りた場合は、2.5%と比べて1.5%しか上がっていませんが、返済金額に大きな差が発生するのが上記の表からわかります。

国の教育ローンと比べて、5年返済では約10万円程度の差に収まりますが、10年返済においては約22万円、15年返済にすると約35万円の金利による差が発生します。

銀行などの民間金融機関において教育ローンを選ぶ際には、金利によく注意しておかないと最終的な返済総額が大きく異なってくることに注意が必要です。

自分で金利や月々の返済金の計算をするのはかなり難しく、とても複雑な計算式となっています。

そのため銀行などのホームページに用意されている返済シミュレーションをつかって、計算するのをおすすめします。

下記に何行かの返済シミュレーションのリンクを用意しましたので、計算する際にご利用してみてください。

奨学金を利用した場合の返済金について

次に、奨学金(今回は日本学生支援機構の第二種奨学金)を利用した場合の、毎月の返済金について計算したいと思います。

日本学生支援機構の奨学金の制度について

奨学金には、無利息型や返済のいらない給付型奨学金もありますが、それぞれ審査があります。

給付型奨学金は、家庭の事情などで児童養護施設などに入っている学生向けの制度となっているため、一般家庭での利用はなかなか難しいのが現状です。

無利息型奨学金には、一定の成績による審査が行われるため、在学中の成績により利用できるかどうかが判定されます。

審査に落ちてしまった場合は、利息のある第二種奨学金を利用する事となりますが、ほとんどの人の場合は第二種奨学金を利用する事となります。

奨学金が教育ローンと違う所は、毎月支給されるタイプという事です。

教育ローンは通常一括で支給されるため、入学金や授業料に利用できますが、奨学金は入学後に手続きをして初めて支給されるため、通常は入学後の6月頃から支給となります。

そのため初年度の入学金や授業料に奨学金を利用しようと検討している人がいる場合は、注意が必要です。

後期の授業料や2年目以降の授業料等の支払や、月々の生活費等に利用するのに向いているのが、奨学金の制度と言えます。

毎月の支給金額を設定する際には、学費やアパート代や寮費、生活費などをしっかりと計算し、不足が発生しないように計画的に利用する必要があります。

日本学生支援機構の奨学金の金利と返済額について

奨学金の金利は比較的低く設定されています。

奨学金の利率には「利率固定方式」と「利率見直し方式」の二つがありますが、固定金利と変動金利の違いと考えておけば問題ないでしょう。

2018年8月時点での金利設定では、利率固定方式で0.33%、利率見直し方式では0.01%とかなり低い水準に設定されています。

ただしこれからさき利率見直し方式においては、景気の動向や市場金利の影響などにより上がる事も予想されるため、最終的な返済金がいくらになるかは未定と考えておいた方が良いでしょう。

奨学金を利用するメリットは他にもあります。

奨学金は在学期間中は利息が発生しないため、在学期間中の支払いが無いのが特徴です。また卒業後すぐに支払いが発生するわけではなく、7か月間の猶予が与えられるのも特徴の一つです。

卒業後は支給された総額に対して、その時点での利率が決定されます。現時点での利率では無く、支給終了後に利率が決定される点に注意が必要となります。

卒業後は15年間の返済期間が設定され、利率固定方式の場合は、毎月決まった金額の返済が始まります。一定の金額が貯まった際には繰り上げ返済も行う事ができます。

表7.奨学金を150万円利用した場合の15年間の毎月返済額

(2018年8月時点の利率を適用)

利率方式毎月返済額総返済額
利率固定方式0.33%8,542円1,537,560円
利率見直し方式0.01%8,339円1,501,020円

同じ15年返済の国の教育ローンや銀行の教育ローンと比べると、総返済額がかなり少ないのがわかります。

奨学金の支払いは、学生本人が卒業後にしていく事となりますが、総支払額を考慮した場合はとても魅力的な制度となっています。

入学金や初年度前期の授業料など、高校在学中に支払う物に対しては利用する事ができませんが、それらを教育ローンを活用して支払い、その後の不足分については奨学金を利用して支払っていくのが、総支払額が一番少なくて済む方法となるでしょう。

まとめ

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毎月の返済額や総支払額で見た場合、トータルで一番少なくなるのは日本学生支援機構の奨学金となります。

次に国の教育ローン、そして地方銀行や信用金庫などの教育ローン、最後に金利設定が比較的高めなメガバンクという結果となりました。

ただし、奨学金については学生本人が借入するという制度になっているため教育ローンとは根本的に違う制度です。

将来学生本人に支払いを負担させたくないと考えるならば国の教育ローンや銀行の教育ローンを検討してみてはいかがでしょうか。

審査の難易度についても奨学金は学生本人が借入する為、無利子の奨学金については成績による審査がありますが第二種奨学金についてはほとんど審査がありません。

教育ローンについては民間金融機関の審査が国の教育ローンに比べると比較的厳しい傾向にあります。

国の教育ローンは収入に下限がありませんので、もし所得が低くて銀行の教育ローンを申込できなかった人でも申し込むことができます。

それぞれの家庭やライフプランに合った教育ローンや奨学金を活用して、どの商品や制度を利用するか早目に相談する事が重要です。

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